水槽の冷し方

 サンショウウオ飼育で、とても気を使うのが温度の管理です。
 クロサンショウウオは比較的暑さに強いといわれますが、真夏の都会の暑さには耐えることができません。里山の木陰の涼しさを思い浮かべてください。そういった環境に棲んでいる生き物なのです。
 なかには、25度以上で死に始めると書いている本まであります(これはちょっと言い過ぎだろうが)。

失敗談

 家のクロサンショウウオは98年の夏、一日だけ30度以上にさらしてしまったことがありました。このときは2、3日餌食いが悪くなりましたが、幸い回復しました。サンショウウオの生命力の強さに助けられた形です(部屋のドアを開けると、むわっとした熱気が立ち込め、ガラス面に水滴がびっしりで中が見えない水槽を見たときは、愕然となりました。送風と冷水の足し水で対処しましたが、皆ぐったりとして・・・)。
 以来、それまで以上に温度管理に気を使うようになりました。

どうやって冷やすか

 水温を下げる方法には、以下の方法があります(単独ではなく組み合わせて行うとより効果的)。

  1. エアコンで部屋全体を冷やす

  2. 水槽用クーラー

  3. ファンで空気を循環させ、気化熱により冷やす
  4. 水槽ごと、浅く水を張ったお風呂に入れておく

  5. 冷たい水で水換え

  6. 保冷剤や凍らせたペットボトル

 エアコンで部屋全体を冷やす方法が、もっとも簡単・確実で間違いがありません。
 水槽用クーラーは、水槽が冷えるかわりに熱風が吹き出すので、換気や設置位置に十分な工夫が必要です。
 ファンの風(気化熱)では、せいぜい2℃下がれば良いほう。
 お風呂は、熱容量を増やす上でかなり有効ですが、移動手間を考えるとサイズ的にプラケースや小型水槽が対象となります。
 水換えでは急激な温度変化が生物に良くないという事に加え、効果が持続せず、また、手間もかかります。
 保冷剤も同様で、一時的な効果しかありません。
 もし、飼育容器にタッパーなどの小さいものを使っている場合は、冷蔵庫やワインクーラーに入れたり、保冷剤といっしょに発泡スチロール容器に入れる方法が効果的です。

エアコンにかかる電気

 エアコンならスイッチひとつでほぼ一定の温度が保てるので、ペットにとって良い環境を提供できます。
 しかし、問題点もあります。

 まず電気代が心配です。人が部屋にいないときにエアコンをつけっぱなしにしておくのは、気が引ける人がほとんどでしょう。「何をぜいたくな!」と怒る人もいるかもしれません。

電気代

 どのくらい電気代がかかるか、ひとつの例を紹介します。
 ペットとしてクロサンショウウオなどを飼育中で、6畳1間に住む1人暮しの独身男性(美少年)の場合ですと、7月(エアコンほとんど昼夜つけっぱなし。ドライ運転モードで室温を25℃程度に保つ)に使用した電気量は424kWh、金額で10,338円でした。6月の電気代は8,427円だったので、単純計算でプラス2,000円くらい。この時期はヒーター(水草水槽など合計3つ)にはあまりスイッチが入らないので、エアコンと差し引きでプラス2,000円だったということになります。
 意外に安い気も・・・!?

環境問題

 問題は電気代だけではなく、環境問題にも及びます。
 二酸化炭素の増加による地球温暖化が問題になって久しく、省エネが叫ばれ続けている現代にあって、わざわざペットを飼い、使わなくてもいい電気を使っている。周りから見れば、エアコンつけっぱなしに良い印象があるはずもありません。
 実際、どのくらいの二酸化炭素を排出してしまったのでしょうか。

環境家計簿

 「環境家計簿」ってご存知ですか?地球温暖化を防ぐ取り組みのひとつで、各家庭における二酸化炭素排出量の算定手法が載っています。電気・ガス・水道などの使用量に対して、それぞれに決められたCO2排出係数をかけることで、二酸化炭素量(kg)が計算できる仕組み(算出される数値は炭素換算です。本当のCO2重量にするには3.67倍する)。

項目 単位 CO2排出係数
電気 kWh

0.10

都市ガス 立法メートル

0.58

LPガス 立法メートル

1.55

水道 立法メートル

0.16

灯油 リットル

0.69

ガソリン リットル

0.64

軽油 リットル

0.72

ゴミ kg

0.24

 例えば、7月の電気使用量424kWhの発電によって、どのくらいの(二酸化)炭素が排出されたか計算してみましょう。

424 × 0.10 = 42.4kg

 ・・・電気だけで、42.4kgもの(二酸化)炭素を排出していたとは驚きです。6月の電気使用量は347kWhだったので、(424-347)×0.10=7.7kgが、エアコンの使用で余計に排出した(二酸化)炭素量です。

 ちなみに、新潟県の一人あたりの排出量は2,564kg(’96)。単順に12ヶ月で割ると、毎月214kgの(二酸化)炭素を排出していることになります。


http://www.tohoku-epco.co.jp/より)

 それでも私はエアコンを奨めます。言うまでもなくペットはおもちゃとは違うので、少しでも快適に過ごせるよう最善を尽くしてあげることが大前提だからです。
 その代わり、エアコンで使ってしまう電気の分、飼い主が他のことで節約する努力をしなければなりません。例えばテレビを見る時間をガマンしたり、自動車を控えて自転車を使うなど、方法はいろいろです。私自身も今後いっそう節約に努めたいと思います。

 この記事を書くにあたり、東北電力長岡営業所の方から資料をいただきました。丁寧な対応、ありがとうございました。

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