成体の飼育設備その2(維持管理設備)

 維持管理のための設備は、飼育設備の心臓部ともいえる重要な部分です。ここに設備投資することが、失敗の少ない飼育につながります。

 以下で紹介している設備は、なかなか高価です。私にとって購入は一大決心でした(^^;。しかし、生き物の飼育は命を扱うもの。程度の問題こそあれ、金で解決(設備投資)できるものは金でさっさと解決し、上手に飼育を楽しんでほしいと思います。

維持管理設備の構成

 水槽に設置した送水パイプから、下図のとおり水を循環し、水質の濾過(浄化)と、水温の管理を行います。

濾過

 濾過とは水を浄化することであり、物理濾過生物濾過の両方が適切に行われることで、良好な衛生環境を維持することができます。

物理濾過
 汚れを漉し取ったり、ピンセット・水換え等により取り除く。
生物濾過
 有害物質をバクテリアの働きで害の少ない物質にする(アンモニア→亜硝酸→硝酸)。硝酸は水換えで排除したり、植物が吸収する。嫌気性バクテリアで硝酸を還元濾過する方法もあるが、うまくいかないと、かえって悪化をまねくことがあり、むずかしいとされる。

 濾過に関する話題については、こちらをご覧ください。 ⇒ 「濾過!徹底考察

 濾過器に入れる濾材は、熱帯魚用品の中から、水質を変化させないものを選んでください(pH調節機能等がある濾材は避ける)。スペースシャトルでメダカの飼育に使われたシポラックスや、長い実績のあるエーハイサブストラットなどがオススメできます。使用前に一度煮沸して余計な付着物を除去すると、より安心です。

水の循環経路

 下図に、濾過設備の一例を紹介します。この例では、外部濾過器で濾過した水を縦横に配置したシャワーパイプで底床の隅々まで導き、ハイドロボールにより、再度、生物濾過を行っています(外部濾過と底面濾過のダブル濾過)。


底床内の配管の様子

 配管後は床材を投入して埋設するため、やり直しとなるとかなりの苦労を伴います。配管計画は慎重に!(私は掘り起こして何度もやり直した:爆)

 なお、外部濾過器も水槽同様に保冷することベター。例えば、水を張った小さな水槽を用意して、その中に外部濾過器を入れると効果的です。水は比熱が大きいので、保冷材として優れています。
 また、保冷用水槽自体も発泡スチロールで覆って、外気温で温まりにくいよう配慮します。

 ところで、延長の長いのシャワーパイプから水を出すには、それなりのパワーのあるポンプが必要。例えば、60cm水槽に用いるとすれば10リットル/min以上の能力をもった製品を選ぶようにしてください。外部濾過器の付属ポンプのパワーが十分でない場合は、別途ポンプを購入して水をまわします(このときは外部濾過器の電源は入れない)。

水槽用クーラー

 サンショウウオは高温に弱いので、水槽をいかに冷やすかが重要です。
 もっとも簡単でオススメしたいのはエアコンで部屋ごと冷やす方法(水槽の冷やし方参照)。どうしてもそれができない場合は、水槽用クーラーの導入を検討してみてください。もし、今現在、購入を迷っているのであれば、すぐに買ってしまいましょう(高価ですが何年も使える器具です。大変な水温管理が飛躍的に楽になります)。
 最低15℃程度まで温度を下げることができるクーラーを選んでください。

 ここまでにお話してきたような飼育設備を整える場合の必要費用について、参考までにこちらをご覧ください。 ⇒ 「必要経費

 次のページで、総まとめとして飼育設備の参考例を紹介します。

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