はじめに

憧れの有尾類との出会い

 図鑑でしか見たことのない珍しい彼らを、いつの日か飼育してみたい!
 多くの少年たちがきっとそうであるように、私も、有尾類(イモリやサンショウウオ)に対して並々ならぬ憧れを抱いていました。

 社会人になり生活も落ち着きはじめた頃、ふと思い立ち、いよいよ夢を叶えんとタモ網片手に近所の山に繰り出した私は、棚田のため池で2〜3cmの幼生を15〜6匹ほど捕まえたのでした。
 興奮とともにアパートに連れ帰る途中、早くも共食いをはじめた幼生たち(大きいやつの口から小さいやつの顔がのぞく。まるで着ぐるみを着ているみたいでカワイイ!・・・って、笑い事じゃありません)。途中、飼育用の40cm水槽を購入し、手探り状態での飼育がスタートしたのです。1997年7月初頭のことでした。

これってサンショウウオ!?

 当時はサンショウウオに関する知識は皆無で、連れ帰った幼生はアカハライモリだと思っていました。ここに、当時のHPに掲載していたはずかしい日記があります。笑ってやってください(なんと日記は2日でやめた。三日坊主にもならない)。

 一向にお腹が赤くならない彼らをいぶかしく思いながらも飼育を続け、12匹が成体になりました(始めに変態した個体は陸地不足で溺死させてしまった)。図鑑で調べたり、また水族館で実物と見比べたりして、ようやく「クロサンショウウオ」であると分かったのがこの頃です。その後、”脱走”という大失態を経て、また新しい仲間が加わり、そして別れもあり、目下8匹を飼育中です。

 無計画・知識不足・失敗だらけで、悪い見本といえるスタートでしたが、現在はどうにかこうにか軌道に乗り、皆元気に育ってくれています。いずれは繁殖をねらい、自己満足ながら、捕まえた数以上に山に返せる日が来るのを夢見ています。

クロサンショウウオの入手方法

 上述のとおり、私の場合は山に行って幼生を捕まえてきました。生息地の状況が分かり、飼育の参考にもなりとても良かったです。
 ペットショップでは成体が2,000円ほどで販売されています。また、春先には卵のうも売りに出されます。
 私としては、販売目的での乱獲といった問題もあることから、ペットショップでの購入にはあまり良い印象を持っていませんが、収益の一部を生息地の保全に充てるなど、良い関係を築き上げていくこともできるはずです(口で言うのは簡単だな〜(^^;)。少しくらい値段が高くても、そういった取り組みを進めているショップにお金を落としたいものです。
 しかし逆に、サンショウウオの売値は”安ければ安いほど良い”という考えもあり(二束三文なら、採取業者もわざわざ捕まえてきて売ろうとはしないでしょうから)、難しいところです。

これから飼育をはじめようとする人へ

 「失敗は成功のもと」といいます。たとえ失敗をしても、そこから何かを学び取れば一歩成功に近づくことができるという、前向きな考え方です。

 どうか、このことわざを安易に生き物の飼育に当てはめないでください

 ここでいう失敗とは、飼育中の生き物を死なせることを指しています。経験不足や不注意など、さまざまな原因で失敗は起こりえますし、そこから何かを学ぶことはもちろん大切なことです。しかし、どれだけ多くのことを学んだとしても、死んだものは二度とは戻ってはきません。飼育の失敗は結果的には成功のもとになるかもしれませんが、それ以前に”取り返しの付かないもの”であるということを、心に留めておいて欲しいと思います。
 生意気を言ってすみませんが、自分自身の幾多の反省を踏まえ、これから飼育をはじめようとする皆さんへのお願いです。


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