オーバーフロー水換え
特に目新しい手法ではありませんが、オーバーフロー装置を水槽に設置すると、水を注ぎ込むだけのお手軽な水換えができるようになります。
オーバーフロー装置の自作
オーバーフロー装置はサイフォンの原理を利用して自作可能ですが、意外に面倒な方法で自作されている方も多いようです。
以下に塩ビ管を組み合わせるだけの簡単な作成方法を紹介します(たぶんこれが一番簡単な自作オーバーフロー。オリジナルアイデアではなく従来から行われている方法です)。
材料は下表のとおり(60cm水槽に設置する場合)。
区分 |
規格等 |
寸法(mm) |
数量 |
塩ビ管 |
φ16mm |
300 |
1 |
〃 |
〃 |
250 |
1 |
〃 |
〃 |
170 |
1 |
〃 |
〃 |
100 |
2 |
〃 |
〃 |
50 |
4 |
塩ビエルボ |
φ16mm 90° |
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6 |
塩ビT字 |
φ16mm |
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1 |
キスゴム |
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2〜3 |
パイプ |
排水口と排水ホースの連結部。エーハイムパイプ等 |
50 |
1 |
排水ホース |
内径φ16mm |
適宜 |
1 |
※各部の寸法はこれにこだわらなくて結構です。我が家にたまたま余っていた塩ビ管を使った作成例です。
組み立て
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これらの材料を左図を参考に組み合わせ、塩ビ用の接着剤で接着してください。ただし、水中にくる接続箇所はぎゅっと差し込むだけで接着は不要。
Aの塩ビ管を長さの違うものに取り替えることで、簡単に水面の高さを変更できます(Aの上端が水面の位置になる)。
A:ここから水がオーバーフロー
B:ここから排水される。ホースを繋いで排水場所へ。
C:空気取り入れ口(高い位置のほうがより安全)
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上図は、わかりやすいように平面で描きましたが、実際には下図(上から見た図)のように曲げて組み立てると、水槽の枠に引っ掛けてコンパクトに設置できます。
曲げ方 例1
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曲げ方 例2
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実際の設置例。(ポリプテルス水槽)
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排水先
Bのパイプの先には排水ホース(園芸用の硬くならないチューブが使い勝手がよい)を取り付け、いつでも水を流せる場所に導いて固定しておきます。我が家では、アルミサッシのレールの部分(結露水などに対応するため排水できる構造になっている)に据え付けています(右写真)。
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呼び水の方法
接着剤が乾いたら、水槽の枠をまたぐように設置してキスゴムでガラス面に固定してください。
続いて、内部を水で満たしてサイフォンの原理を働かせるために「呼び水」を行います。
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水槽いっぱいまで水を注ぐ(Aの上端を水没させる)。
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Cを指先で塞ぐ。
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Bにつないだホースの先を咥え、中の空気を力いっぱい吸い込む。
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空気が吸い出され、換わりに水槽の水が流れ込んでくる。
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さらに吸い続け、口の中に水が入ってくる寸前にホースから口を離してその先を排水場所に向ける。
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Cをふさいでいた指を離す。
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水が排水されていき、Aの上端まで水位が下がると止まる。
注意事項
最も注意を要するのは、5でタイミングよく口を離すこと。早すぎるとサイフォンが効かず、遅すぎると口に水が入ってしまいます。私は失敗して、サンショウウオ水槽のミールワームの皮が漂う飼育水をたっぷりと口に含んでしまいました。(あっ、今ひいた?)
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サンショウウオ水槽内の塩ビ管には、事故防止のメッシュ蓋を。
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このような不幸な出来事が今後起こることのないよう、良い案を紹介しておきます。
ホースに直接口をつけるのではなく、30cmくらいの透明パイプを繋ぎ、それを咥えて吸い込みます。こうすると水が迫り来くる様子が目視できるので安心です。(←今回のミソ。)
設置完了
一度呼び水を完了してしまえば、あとは好きなときに換えたいだけ水を注ぐだけ。自動的に排水が始まり、自動的に元の水位に戻ります。
フンや残餌などを掃除するには向いていませんが、「少量を」「頻繁に」という生き物に優しい水換えがこの方法なら苦もなく行えます。
もうひと工夫して排水先を観葉植物の植木鉢に向け、水をやりたい時に水槽に水を注ぐようにすると、水やりと水換えが同時に行えたりします。
もちろん、同じ装置をオーバーフロー式の濾過を自作する場合にも応用可能(その場合は径の大きい塩ビ管を用いる)。
ジョウロの先にホースをつける。
ガラス蓋の隙間から注水。
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注水には、先端に短いホースを取り付けたジョウロがとても便利です(左図上)。
このジョウロに水道水を汲んできます。そして、水槽上のライトを少しずらし、ガラス蓋のコーナーの切り欠き部分にホースを差し込みます(左図下)。こうしてジョウロを傾ければ、ものの数十秒で注水完了。楽チンです。
このほかにも、コップに余った飲み水を水槽に注ぐといったような、超手抜き水換えもオススメします。
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