見分け方
サンショウウオの同定(種類を特定すること)は、とても難しいといわれています。どのくらい難しいかというと・・・。
「原色日本両性爬虫類図鑑」(保育社)の図を改変
左上から下に、カスミ、トウキョウ、ツシマ、オオイタ、右上から下に、トウホク、クロ、エゾ、アベだそうです。「尻尾の曲がり方が違うだけじゃねーかよー!」と、誰もが突込みを入れたくなる。
このたび、勉強を兼ねて日本産のサンショウウオの種類を特定する方法について整理しました。下の検索表から条件に当てはまるリンクをたどっていくと、種名が判明します。
サンショウウオ亜目
科の検索
生き物を分類する上で、もっとも基本となる単位は種です。これは、学名と和名で表されます。似かよった種を集めて属といい、属を集めたものが科です。なお、科の上は目・綱・門・界と続きます。亜○として、より細かく分類する場合もあります。
それでは、サンショウウオ亜目の科の検索からスタートです。
- まぶたが多少とも発達している。
まぶたがあるので、まばたきができます。
鋤口蓋歯列は鋤口蓋骨の前端に位置することがなく、また上顎歯列に平行でもない。
鋤口蓋歯列とは、上あごにある歯の並びのことで、通常の歯とは別にあります。
体は小型。
大きくても20cm程度。
(YES/NO)
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- 左右の鋤口蓋歯列は、喉側でくっつくまたは近接していて、前方では広く離れている(V字形)か、あるいは横に並んでいる(U字形)。
皮膚はつるっとしている。
(YES → サンショウウオ科/NO)
- 鋤口蓋歯列は逆V字形で長く後方に延び、左右の歯列が前端で接し合って、喉側では広く離れている。
体表の皮膚は一般にデコボコしている。
(YES → イモリ科/NO)
- 眼瞼がない。
鋤口蓋歯列は鋤口蓋骨の前端に位置し、上顎歯列に平行した弧状を呈している。
体がでかい。
(YES → オオサンショウウオ科/NO)
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属の検索
- 鋤口蓋歯列はV字形またはU字形で、それぞれの歯列の内枝は外枝よりも明らかに長い。
肺がある。
(YES/NO)
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<鋤口蓋歯列>
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- 後足は原則として5本指で、もし4本指の場合は尾が円筒状。
頭蓋の背中線上には縫合線がある。
ということは奥義「六波返し」ではずせるわけ・・・っていうかネタがマニアックすぎ。
背中には淡色縦条がないか、あっても胴の全長に及ぶことはない。
縦条(たてじょう)とは、縦の縞模様です。なお「縦」というのは、頭から尻尾の方向であることに注意です。人間の感覚で言うと、縦=鉛直、横=水平なんですが、サンショウウオは寝そべってるから逆です。
(YES → サンショウウオ属/NO)
- 後足は4本指で、尾はヒレ状になっている。
頭蓋の背中線上には縫合線がなく、額骨と頭頂骨との全長にわたって細長い隙間が開いている。
背中には全長にわたって淡色縦条がある。
(YES → キタサンショウウオ属/NO)
- 左右の鋤口蓋歯列は内枝と外枝の長さがほぼ等しく、二つの弧を横に並べたようになっている。
頭骨の前部には、左右の鼻骨の間に大きい凹陥没がある。
肺がない。
皮膚や口腔粘膜で呼吸します。
(YES → ハコネサンショウウオ属/NO)
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種の検索
- 背中に淡色の不規則な斑紋か、微細な斑点がある。もし体が大型で、背中に斑紋や斑点がない場合は、紀伊半島・四国・九州に分布していない。
(YES/NO)
- 尾は後方に向かって明瞭にヒレ状になっている。
(YES/NO)
- 尾の背腹両縁に原則として黄色い縦じまがある。もしこのような縦じまがない場合には、背面の肋条(ろくじょう)が原則として13本あり、鈴鹿山脈以東の地域に分布していない。
(YES/NO)
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- 尾の背縁はとくに先端部で鋭く、背中の黒褐斑点は比較的粗雑で細かい模様になっている。
対馬にしかいない。
(YES → ツシマサンショウウオ/NO)
- 尾の背縁は先端部でも比較的にぶく、背中には黒褐色の細かな斑点が密に分布している。
九州・四国・鈴鹿山脈以西の本州に分布し、対馬にはいない。
(YES → カスミサンショウウオ/NO)
- 尾の背腹両縁に黄色い縦じまがない。もし尾の背腹両縁が淡黄色の場合は、背面の肋条の数が原則として12本以下。
(YES/NO)
- 鈴鹿山脈以東の太平洋側に分布し、東海地方・関東地方・福島県東部などの平地や丘陵地にすむ。
背面の肋条の数が原則として12本で、鋤口蓋歯列は一般に小さいU字形。
(YES → トウキョウサンショウウオ/NO)
- トウキョウサンショウウオの分布している地域にはいない。もしこの地域に隣接する場所にいる場合は、背面の肋条が原則として11本しかない。
(YES/NO)
- 九州の東岸に固有。肋条は背面に12本ある。
(YES → オオイタサンショウウオ/NO)
- 分布域は近畿地方以東の本州・佐渡島または北海道。
背面の肋条は原則として11本しかない。
(YES/NO)
- 手足は比較的長く、体にそって伸ばすと前足と後足の指が重なる。
分布域は日本海側で福井県以東。
(YES/NO)
- 分布域は本州の中部地方以北または佐渡島。
鋤口蓋歯列はU字形またはV字形で、折れ込みが多少とも深い。
(YES/NO)
- 原則として小指が短い。
尾の縁が比較的にぶく、尾の先もにぶい
卵のうは曲がったひも状で透明。卵が外から見える。
(YES → トウホクサンショウウオ/NO)
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- 小指は常によく発達している。
尾はかなり平べったく、先端が多少ともとがっている。
卵のうはアケビ型で乳白色。
(YES → クロサンショウウオ/NO)
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- 北海道に固有。
鋤口蓋歯列は非常に浅いV字形。
(YES → エゾサンショウウオ/NO)
- 手足が短く、体にそって伸ばしても前足と後足の指がかなり離れる。
丹後地方の一部に固有。
(YES → アベサンショウウオ/NO)
- 能登半島中部の石川県と富山県の一部に固有。
背面の肋条の数が普通12本で、鋤口蓋歯列は比較的浅いU字形またはV字形。
(YES → ホクリクサンショウウオ/NO)
- 長野県白馬村・富山県の一部・新潟県の一部(北限)・岐阜県の日本海側山地の一部に固有。
背面の肋条の数が普通12本で、鋤口蓋歯列は比較的浅いV字形。
体が非常に小さい。
大きくても10cm程度。
(YES → ハクバサンショウウオ/NO)
- 尾は円筒状であるか、あるいは後方に向かって多少平たくなるのみ。もし、尾の後半部がかなり明瞭に平たくなっている場合には、背中が不明瞭な黄色の斑点でおおわれ、分布は隠岐に限られる。
(YES/NO)
- 手足は比較的長く、体にそって伸ばすと前足と後足の指が重なる。
隠岐の島後(どうご)に固有。
隠岐の島後には河童の伝説がたくさん残されているそうな。
(YES → オキサンショウウオ/NO)
- 手足は短く、体にそって伸ばしても前足と後足の指はくっつかない。
隠岐にいない。
(YES/NO)
- 後足は原則として4本指。もし5本指なら、鋤口蓋歯列が原則としてU字形。
本州中央部の山地に拡がり、近畿地方(紀伊山塊を除く)を分布の西限とする。
北限は新潟県。
(YES → ヒダサンショウウオ/NO)
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- 後足は5本指。
鋤口蓋歯列は原則としてV字形。
紀伊山塊・中国地方・四国・九州に分布する。
(YES/NO)
- 鋤口蓋歯列の開きが比較的大きい。
原則として腹面に斑紋がある。
(YES → ブチサンショウウオ/NO)
- 鋤口蓋歯列は前方への開きが非常に小さく、狭くて深いV字形。
腹面には斑紋がない。
(YES → ベッコウサンショウウオ/NO)
- 背中はのっぺりと暗黒褐色で、淡色の斑紋や斑点がない。
後足は5本指。
体は大型で13〜20cmくらい。
紀伊半島・四国・九州の中央部に分布する。
チョコエッグに入っていた。
(YES → オオダイガハラサンショウウオ/NO)
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この属にはキタサンショウウオ1種のみ。
日本のサンショウウオ亜目の中で、唯一日本固有種ではなく、中国・モンゴル・シベリア等に広く分布しています。
この属にはハコネサンショウウオ1種のみ。
ほっそりしていて体色も特徴的なので、一目見てそれだとわかります。
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参考文献・・・原色日本両生爬虫類図鑑(保育社)
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