日本の小型サンショウウオ

 日本の小型サンショウウオは、現在19種類に区分されています。
 狭い国土にこれほど多くの種類がいるということは、ひとつには、日本がサンショウウオの生息に適した自然環境を有しているということを意味しています(暑すぎず寒すぎず適度な降水がある)。
 もうひとつには、サンショウウオがあまり大きな距離を移動する生物ではなく、遺伝子の交流が狭い地域内に限られているということを意味しています。

 分布図はこちら(各種の分布域を重ね合わせ表示できます)。 ⇒ 「サンショウウオの分布


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日本の小型サンショウウオ一覧

Hynobius サンショウウオ属 Onychodactylus ハコネサンショウウオ属
Onychodactylus japonicus
ハコネサンショウウオ

Salamandrella キタサンショウウオ属
Salamandrella keyserlingii キタサンショウウオ
Hynobius abei
Hynobius boulengeri
Hynobius dunni
Hynobius hidamontanus
Hynobius kimurae
Hynobius lichenatus
Hynobius naevius
Hynobius nebulosus
Hynobius nigrescens
Hynobius okiensis
Hynobius retardatus
Hynobius stejnegeri
Hynobius takedai
Hynobius tenuis
Hynobius tokyoensis
Hynobius tsuensis
Hynobius katoi
アベサンショウウオ
オオダイガハラサンショウウオ
オオイタサンショウウオ
ハクバサンショウウ
ヒダサンショウウオ
トウホクサンショウウオ
ブチサンショウウオ
カスミサンショウウオ
クロサンショウウオ
オキサンショウウオ
エゾサンショウウオ
ベッコウサンショウウオ
ホクリクサンショウウオ
ヤマサンショウウオ
トウキョウサンショウウオ
ツシマサンショウウオ
アカイシサンショウウオ

 これらのサンショウウオは、皆、姿かたちが似通っているため、種類を見分けることは非常に難しいです。こちらに見分け方を整理しましたので参考にしてください。 ⇒ 「見分け方

 ちなみに、よく混同される”イモリ”との違いはこちら。 ⇒ 「イモリとサンショウウオの違い

 上の表の他にも、今後、新種として記載されそうなサンショウウオがいくつかあり、さらに細かい区分けが進んでいく見込みです。(「新種発見!」とは、単に、昔から棲んでいた生き物を人間が考えた区分けに新しく当てはめたというだけの話です。サンショウウオが増えた!といって喜ぶようなことではないので誤解のないよう・・・。)

新潟県のサンショウウオ

 私の地元新潟県には、クロサンショウウオをはじめ5種類のサンショウウオが棲んでいます。

クロサンショウウオ

 おなじみ。

 佐渡島のクロサンショウウオはサドサンショウウオとも呼ばれます(以前は別種と考えられていた)。

佐渡島でのエピソード ⇒ 「サドサンショウウオと出会った!

トウホクサンショウウオ

 クロサンショウウオにそっくりで地味。もしも山で出会ったとしても、私には見分けることができないかもしれません。
 基本的にはたまり水に卵を産む止水性ですが、谷止め(小さなダム)の上流の水溜りなど、ゆるやかな流れのあるところに産卵することも多いようです。クロサンショウウオと混生している場合があります。

 新入りの一匹はもしかするとトウホクサンショウウオかもしれない。尻尾が短く、手足も短いのはトウホクサンショウウオの特徴なのでだそうです。いや、しかし・・・う〜む。

クロサンショウウオとトウホクサンショウウオの成体の見分け方
区分 クロサンショウウオ トウホクサンショウウオ
体を伸ばした状態で
前足と後足を近づけると・・・
指先が完全に重なる。 指先がわずかにつく。

ハコネサンショウウオ

 ほっそりとした感じで目が飛び出たように大きく、背中には金色の帯模様があります(変異に富む)。水の湧き出ている崖錐(がいすい)などに数メートル潜って産卵する流水性。

 ハコネサンショウウオは肺を持たず、主に皮膚の表面や口内の粘膜から酸素を取り入れたり二酸化炭素を出したりしています。ほっそりと長い体型は体積に比べて表面積が大きいため、皮膚呼吸に有利なのです(逆に水気が飛びやすく乾燥には弱い)。

 子供の頃、どこかの川で石を裏返して見つけたことがありました。あのときの興奮といったら・・・。すごく飼いたかったのですが、透きとおった川の水は凍えるほどの冷たさ。連れ帰ったら絶対に死なせてしまうと思い逃がしたのでした。

ヒダサンショウウオ

 金粉をちりばめたようなラメ模様でとてもきれい(模様や色は個体ごとに変化に富む)。
 わりとどっしりとした体型ですが、渓流で産卵する流水性です。いつかフィールドで出会ってみたいものです。

 本州中部から山陰地方に分布し、新潟県が北限です。ハコネサンショウウオとは混生している場合があります。

ハコネサンショウウオとヒダサンショウウオの幼生の見分け方
区分 ハコネサンショウウオ ヒダサンショウウオ
指先 黒いツメのようなものがある。 ない場合もある。
四肢の膜 手足の外側に膜状の広がりがある。 膜はない。
尾びれ 尾びれは後足のあたりから始まる。 胴の中間から始まる。

ハクバサンショウウオ


(富山県内で撮影されたもの)
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 分布域がきわめて小さく、珍しいサンショウウオ。止水性。新潟県が分布の北限です。
 詳細については左写真をクリックするか、こちらから。 ⇒ 「ハクバサンショウウオ

レッドデータ

 多くのサンショウウオが、絶滅の危機に瀕しています。

アベサンショウウオ 絶滅危惧IA類 ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種
ホクリクサンショウウオ 絶滅危惧IB類 IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種
ハクバサンショウウオ
オオイタサンショウウオ 絶滅危惧II類 絶滅の危険が増大している種
オキサンショウウオ
ベッコウサンショウウオ 準絶滅危惧 現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可\能\性のある種
キタサンショウウオ
京都・大阪地域の
カスミサンショウウオ
絶滅のおそれのある
地域個体群
地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれが高い個体群
東京都の
トウキョウサンショウウオ
愛知県の
トウキョウサンショウウオ
本州・九州地域の
オオダイガハラサンショウウオ

参考文献・・・両生類の進化(松井正文・東京大学出版会)
動物達の地球5(朝日出版社)
レッドデータブック(2000)

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