2000年8月

2000. 8. 5 第2回両生類自然史フォーラム

2000. 8. 5 第2回両生類自然史フォーラム

 今日は、新潟両生類研究会の第2回目のフォーラムに参加してきました。会場は第1回と同じ日本歯科大学。この日のプログラムは、

<特別講演>

  1. タゴガエルの舌ならびに味覚器官の形態形成 熊倉雅彦(日本歯科大・第一解剖)
  2. 能登宝達山の両生類―特にサンショウウオについて― 秋田喜憲(石川県・志雄小学校)
  3. 特殊環境に生きるカエルを求めて―海のカエルと砂漠のカエル― 内山 実(富山大・理・生物)

<一般j講演>

  1. 河北潟周辺の両生類相の特徴 高橋 久ほか(河北潟湖沼研究所)
  2. 佐渡の無尾両生類―主としてツチガエルについて― 関谷国男ほか(新潟大・理・自然環境科学)
  3. 東北地方に生息するタゴガエルの核型 龍崎正士ほか(北里大・医・生物)
  4. 「草履に蛙」の製作動機について 岩澤久彰(新潟大)

サンショウウオの観察記録

 私には染色体がどうだとか、そういう話は難しすぎ。それで頭痛がしそうになった話もあったのですが、面白かったのは石川県で小学校の教師をされている秋田さんのお話。学級の子供達と魚のイトヨを調べているときにクロサンショウウオと出会ったのがきっかけで、サンショウウオについて調べるようになったそうです。実際のフィールドで試行錯誤しながら、伏流水の流れる崩積土砂の奥に産み付けられたハコネサンショウウオの卵を見つけたり、繁殖にやってくるハコネサンショウウオを捕まえて観察し、繁殖期が年2回あることを確かめたり、また最近ではサンショウウオが自然に繁殖できるような水ためを野渓の途中に作って観察を続けているなど、非常に興味深く、ワクワクものの講演でした。
 私はといえば、未だクロサンショウウオの野外成体観察にも行かず、水槽の世話ばかり・・・。ああ、無性に屋外に行きたくなった。フィールドが呼んでいる。

鳴き声の違うツチガエル

 特殊環境に生きるカエルの話や、ツチガエルの話も面白かったです。
 ツチガエルは佐渡島の両津市と相川町にはお腹がオレンジ色のものがいて、本土のツチガエルとは鳴き声も違うのです。実際に録音した声を聞かせてもらいました。私は小学生の頃、この相川町に住んでいたことがありましたが、実はツチガエルの印象はあまりありません。


参加者は20人くらいだったでしょうか

無事カエル

 「草履に蛙」の話は、笑いをまじえての講演で飽きずに楽しめました。旅の無事を願って、草履の上にカエル(”旅から無事に帰る”)が座っている彫り物(根付)があるのですが、ある博士がこれを見て「カエルがお腹から水分を吸収するために、湿った草履の上に座っているのだ」と話したところ、それが定説になりつつあるので危惧しているといった話でした。
 確かにカエルは口からは水を飲まず、もっぱら下腹部や太ももの内側、それに肛門から水分を吸収します。しかし、喉が渇いたのならわざわざ草履の上に座ることなどせずに、穴を掘ったり、水に入ればいいだろう。「草履に蛙」は、やっぱり”カエル”と”旅から無事に帰る”をかけているとする、従来どおりの説が正しいのでは、というお話でした。

 なお、この日の臨時総会で新潟両生類研究会は”日本”両生類研究会と名前が変わりました。フォーラムも、県外で開催することも考えているそうです。気軽な気持ちで参加していたのに、だんだんと本格的になってきた・・・どうしよう(^^;。

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