幼生の飼育クロサンショウウオは卵から生まれると、手足がなくフサフサとしたエラ(外鰓という)のある幼生時代を経て、やがて手足が生えてエラがなくなり、陸上生活に移ります。 ここでは、卵〜上陸までの飼育についてお話します。 孵化するまで卵のうクロサンショウウオは、片側に10〜70個(通常30〜40個)の卵が入った卵のうを1対(2房)水中の木の枝などに産み付けます。これが全て無事孵化すれば全部で20〜140匹(!)。
なお、@水深の浅い所にある卵のうは中の卵数が多く産卵の時期も早く、A深い所にある卵のうは卵数が少なく産卵の時期も遅い、という相関関係があるそうです。採取のときの参考にしてください。 卵のう水槽 卵のうを入れておく水槽は下図のとおりです。
水草(マツモ・アナカリス等)を入れると、多少水質の維持にプラスになり、見た目にもさわやかに。ちょっとした隠れ家となり、たくさん入れれば孵化後の幼生の共食いを抑える効果もあります。 濾過孵化するまでは餌を与えないので水質の悪化は緩やかですが、濾過器で水面を多少揺らし、溶存酸素量を確保することにも意義があるので、設置することを強く薦めます。 クロサンショウウオは水の動きの少ないたまり水に産卵するので、水流が強くて卵のうが揺れ動くような濾過方法は適しません。
設置の際は、できるだけ水流を弱めるために、エアの吐出口をガラス面に向けることがポイントです(前出の図を参照)。 水温適した水温は、人間にとって涼しく過ごしやすい(やや肌寒い)室温と同じくらいと考えてください。
なるべく低目を維持することに留意して、高くても25℃を超えないことが好ましいと思います。逆に、水温が低いからといってヒーターをセットする必要はありません。 暑い日には注意!日中水温が30℃を超えるような日が続くと人間もキツイですが、暑さの苦手なサンショウウオには命に関わります。水槽をクーラーの効いた部屋に置くか、せめて換気扇を常にまわしておくなど、気を使ってあげてください。直射日光があたる場所に置いたり、締め切った部屋に置いておくと、自然界の広い池と違って、小さな水槽の水はアッという間にぬるま湯に。生まれる前に全滅しますよ・・・。 日ごろの世話としては、まめに水温計をチェックしながら、気が向いたときに少量の水換えを行えばOKです。ただし、卵のうは刺激に弱いので水換えはそ〜っと丁寧に! 幼生が誕生! やがて、卵のうから1cmほどの幼生が飛び出します。いよいよ本格的な飼育のスタート! 幼生水槽
水槽が狭いほど出会い頭の共食いが頻繁に発生します。共食いを許すかそれとも隔離飼育するか、どちらを選ぶかは飼育者の考え方次第であり、悩むところです。共食いさせたほうが自然な状態であり、強い幼生を選別できるという、飼育者にとってのメリットがあることは否定できません。 濾過
水換えは、卵のう時代より頻繁に行う必要があります(餌を食べ、フンも出すため)。 どうも、水質管理に無頓着な飼育者が多く見受けられます。その結果、水質の悪化が引き金となって幼生を死なせてしまっています。次に説明する水温を含め、水の管理を飼育の最重要項目と位置づけてください。 水温
水温は、卵のう時代と同様です。クロサンショウウオの幼生は自然界でも温まりやすいたまり水にいるため、高水温にも比較的よく耐えてくれます。 手足が生えたら はじめに手が生え、続いて足が生えてきます。エラがなくなるのは最後。だんだんとエラが小さくなり、顔つきが丸く小さくなって別人のようになってきます(変態という)。
いままでの水槽に新しく陸地を設けても良いのですが、簡単なのは水槽をもうひとつ買ってきてハイドロボールを敷いて陸地を作り、上陸用の水槽を用意することです。手足が生えそろってエラが小さくなってきた幼生から順に、臨時水槽の方に移していくのです(上陸時期にはわりと差があるので、よく観察すること)。 上陸したサンショウウオは、ガラス面を上手に登りたやすく脱走するので、フタが絶対に必要です。(ネットなど通気性の良いものを。) 念のため、幼生水槽のほうにもフタをして、発泡スチロール板や浮き草(ホテイアオイ等)を浮かべておくと、万が一上陸用水槽に移すのが遅れた場合に役立ちます。ただし、これはあくまでも応急措置。私はホテイアオイを浮かべて放っておいて、一匹溺死させてしまった経験があります。くれぐれもご注意を。 上陸用水槽は、すべての個体が上陸完了後、ハイドロボールを水平に敷きならすかさらにハイドロボールを足して水場を埋め立て、引き続き成体の飼育水槽として利用します。 続いて、幼生の餌について紹介します。
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