幼生の餌

 サンショウウオの幼生は肉食で、すごい食欲です。
 大きな幼生は、成体になっても大きく育ちます。健康でビッグサイズのクロサンショウウオを育てるには、幼生時期の栄養がポイント。

給餌頻度と量

  • 毎日与える。

  • 食べ残しが出ない量を与える。

 食べれば食べただけ大きくなります。少しでも共食いを防ぐためにも、毎日与えてください。1日数回にわけて与えたほうがベターですが、朝夕の2回与えられれば十分に育てられます。数日置きにどっさり餌を放り込むことは成長を阻害し、水質悪化の原因にもなるのでしてはいけません。
 量は、食べ残しが出ない程度にします。食べ残しが出た場合には、水が悪くなる前にスポイトなどで吸い出してください。

餌の種類

 水底に沈んだ餌を食べます。金魚のように、浮いた餌に大勢が集まってパクパク食べることはありません。
 手に入りやすい餌には次のようなものがあります。

冷凍餌

  • 冷凍ミジンコ

  • 冷凍ブラインシュリンプ

  • 冷凍イトミミズ

  • 冷凍赤虫

 これらの冷凍餌は熱帯魚ショップで手に入ります。プラスチックのコップなどに水を入れて解凍し、スポイトで幼生の目の前に噴出して与えましょう(こうすると食欲を刺激するとともに、無駄に散らばらず食べ残しを少なくできる)。これで勢い良く食いついてくれること思います。
 数種類を混ぜて与えても良いですし、また、熱帯魚の粉末飼料や栄養補助粉末などを混ぜることも栄養改善に役立ちます。

活餌

  • わけのわからない微生物(インフゾリア)

  • ブラインシュリンプ

  • イトミミズ(糸目:いとめ)

  • 赤虫

 わけのわからない微生物(総称してインフゾリアと呼ばれる)は、卵のうを採取した池の泥をほんの少量すくってきて水槽に投入するという方法で給餌します(飼育する数にもよりますがティースプーン1杯くらい。私の場合、幼生を捕まえたときに汲んで来た水の中に泥が少し混じっていただけでしたが、中に色々な生物を発見することができました)。
 この泥の中には小さな水生昆虫をはじめ、わけのわからない微生物がたくさん入っており、良い餌になります。特に幼生の初期飼料として適しています(生まれたての1週間ほどは、これ以外に餌を与える必要はありません)。ただし大き目のヤゴなど、幼生を食べてしまう昆虫が入っていないか注意が必要です。
 泥は一度投入すれば、日々、いろいろな生物が沸いてきます。
 また、泥が用意できない場合には、湧かしたてのブラインシュリンプも良い初期飼料になります。

 熱帯魚ショップでは生きたイトミミズを購入することができますし、釣具店では生きた赤虫を購入することができます。ただし、イトミミズは重金属等に汚染されているという噂を耳にするので、あまりそればかり与えることは避けたほうが良いです。

その他

  • 精肉

  • 魚肉

 一般の食品として売られている中にも、サンショウウオの餌にできるものがあります。
 先のとがった細い棒などに、ひき肉のかけらや小さなレバーの切り身をさして、幼生の目の前でゆらゆらと動かしてみせます。すると、勢い良くパクッと食いついてきます。棒を通して、なかなかの手ごたえが楽しめます。

 私はかつて冷凍赤虫ばかり与えていたせいか、1匹を背骨の曲がった病気の成体に育ててしまいました。どうかバラエティに富んだ給餌を心がけてください。

共食い

 サンショウウオの幼生自身が別の幼生の餌になることがあります。このような共食いは自然界で通常の捕食行動のひとつとして行われており、決して珍しいことではないようです。

 共食いの話題について、こちらを参照してください。 ⇒ 「サンショウウオを餌にする!?

 幼生を飼育しているうちに、めだって大きな幼生が何匹か出現します。彼らが”共食いをする側”。水槽の中ではボス的存在で、他の幼生達にくらべて特に頭部が大きく、貪欲に共食いを繰り返し、ますます大きくなっていきます。こうした幼生は成体になっても、目立って大きな個体に成長します。

 しかし、飼育中の幼生の共食いを見るのはなかなかショック・・・。
 そこで、カエルの幼生、つまりオタマジャクシに注目しています。サンショウウオの幼生の代用という単純な発想ですが、どうでしょう?(ヒキガエルなど毒のあるオタマジャクシもいるので注意が必要。)

上陸後の餌付けについて

 幼生時代はあれほど貪欲なのに、上陸前後は極端に餌食いが悪くなります(それが普通なので心配無用)。
 この時期こそがクロサンショウウオ飼育の難関
 とにかく根気良く給餌を続けて、最終的にはピンセットでの餌付けに成功するようにしてください。1匹1匹にピンセットで餌を与えることで全ての個体とコミュニケートでき、その日の体調を伺い知ることができます。体調が悪いのは1匹だけか、それとも全員か?それによって飼育設備を改善したり餌を替えたりという、こまやかな配慮ができるのです。

まずは活餌を与えることから

  • 初めはワラジムシ等の土壌生物を与える。

 野生のサンショウウオの胃の内容物調査によると、ワラジムシ等の土壌生物が多くを占めているそうです。そこで、まずはフタのついた入れ物・移植小手・割り箸を手に近所の公園や神社などに行き、石をはぐったり落ち葉(腐葉土)を掘ったりして、小さな生物を採取し、それを与えることから始めましょう。

 餌付けの第1段階として、これらを水槽内に放り込んで(なるべくサンショウウオの目の前に)、サンショウウオが自分から食べてくれるのを待ちます。時間はかかるかもしれませんが、そのうち食べてくれるはずです。

 第2段階は、それらの小さな生物を1本の割り箸の先にとまらせて、サンショウウオの口元に差し出して与えてください。割り箸を這う虫を見て上手に食べてくれます。

 第3段階でようやくピンセットが登場します。今度は虫をつまんでサンショウウオの口元に。うごめく足などを見て食欲が刺激され、きっと食べてくれることと思います。

 ここまでくればしめたもの。
 第4段階では、いよいよ冷凍赤虫など、”生きていない餌”をつまんで与えます。ピンセットを小刻みにゆすって、クロサンショウウオの食欲を刺激してください。釣りの世界では、ルアーや毛針といった疑似餌をあたかも本物のように見せかけて釣るテクニックがありますが、このピンセットさばきも、それに通じるものがあります。この段階が最も根気を要するところです。あきらめずに続けてください。初めてだった私にもできたのですから大丈夫です!

(成体への給餌に関する詳細な内容はこちらで紹介しているので、合わせてご覧ください。)

 最後になりますが、万が一餌付けに成功しなかった場合は、まよわず捕まえてきた場所に逃がしてあげてください。

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