ミミズ
うどんをすするように丸呑み!
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消化されるのが早いため野生のサンショウウオの胃の内容物調査ではたくさん見つからないようですが、頻繁に食べられている獲物のひとつだと考えられています。なにしろ、土の中に棲んでいる動物はミミズが断然多く、一定区域に棲む土壌動物のうち「重さで20%〜80%をミミズが占めている」といわれているくらいです。
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栄養面においても、ミネラル豊富な餌として定評があります。
与え方
ピンセットではすべりやすいため、割り箸で与えるのが簡単。胴体の中央をつまむと大暴れして狙いが定まらないだけでなく、サンショウウオの顔面をムチのようにシバきまくるので、右図のように端っこを摘み、上手に動きを制しながらその短い側をサンショウウオに差し出して与えます。
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巨大なミミズはハサミでちょん切って与えることになりますが、妙な粘液でヌルヌルになってさらにつかみにくくなります。できるだけ切らなくても大丈夫なサイズ(目安はサンショウウオの体長以下)を用意しましょう。
どうしてもミミズが暴れてうまく食べさせることができない、という場合は、ミミズに熱いお湯を掛けると大人しくなります(ナンマイダ・・・)。その後、冷水で熱を取ってからサンショウウオに与えます。粘液も出なくなり、ピンセットでつかみやすくなります。
採取方法
用意するもの・・・移植ごて、割りばし(又は軍手)、入れ物(密閉できるもの)
ミミズの多い森林の黒色土壌
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雑木林や河川敷のやや湿り気のある土中にたくさんいますが、都会でも、公園の端のあまり踏み固められていない土を掘ったり、雑草を引っこ抜いて根の周りを探せば見つけることができます。土と石の間も好み、コンクリートに薄く土がかぶさっている境目などにも多く潜んでいます。
見つけたら割り箸でつかまえますが、軍手をしてつかむ方が簡単です。
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ちなみに、ペット用の飼料としては、特に海外で普及しています。個人輸入等を試みたい場合は、下表を参考に注文してみてください。
呼び名
(日本語読み)
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学名 |
備考 |
red-wiggler
(レッドウィグラー)
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Eisena fetida |
red-worm(レッドワーム)とも。
和名シマミミズ。 |
〃
( 〃 )
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Lumbricus rubellus |
red-worm(レッドワーム)とも。
和名アカミミズ。 |
night-crawler
(ナイトクローラー)
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Lumbricus terrestris |
30cmほどになる大型のミミズ。雨の日に這い出してくるためrain-worm(レインワーム)とも。和名ツチミミズ。 |
african-night-crawler
(アフリカンナイトクローラー)
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Eudrilus eugeniae |
30cmほどになる熱帯性の商用ミミズ。giant-tropical-worm(ジャイアントトロピカルワーム)とも。和名アフリカツチミミズ(?) |
field-worm
(フィールドワーム)
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Allolobophora caliginosa |
20cmくらいになる。庭で簡単に採れるのでgarden-worm(ガーデンワーム)とも。和名カッショクツリミミズ。 |
日本で市販されている乾燥飼料もあります。
ストック方法
カブトムシなど昆虫飼育用に売られている腐葉土を用いるのが手軽。この腐葉土に以下を混ぜ込みます。
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オートミールやジャガイモなど野菜くずを少々・・・餌として。
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カルシウムなどミネラル剤・・・ミネラル豊富なミミズに育つ。
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木炭・・・アンモニア等の有害物質を吸着し、突然死のリスクを下げる。
腐葉土には常に湿り気が必要です。乾燥速度を抑えるため(及び、身を寄せる場所として)、表面を布やボール紙、木板などで覆うことが有効。また、脱走の名人なので、とにかく厳重なフタをするか、割り切って屋外に置くようにします。
長期飼育にはミミズコンポストの方法が参考になりますが、意外にデリケートで、正直、私は長期間うまく管理できたためしがありません。
ミミズは釣り餌として購入することができます。
しかし、それらは主に牛糞を用いて養殖されているらしく、牛が抗生物質やホルモン剤を投与されていた場合(十分あり得る)は問題が起こり得ます。重金属(詳細は後述)に汚染されていることがあるという話もよく耳にします。
また、釣り餌としてもっとも一般的なシマミミズは、先天的にサンショウウオに害のある成分を含んでいるといわれています(詳細は後述)。
一方、延岡旭繊維株式会社の”りんたろう”という釣り餌は、アカミミズを純粋なコットンの屑で養殖したことが売りの商品。食の安全性を考えると、釣り餌ミミズの中ではこれが選択肢の一番に上がります。
ただし、”りんたろう”だけを与え続けて3年ほどで死亡した話も聞いています。とにかく、単食は良くないです。
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日本原産アカミミズ
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なお、”りんたろう”のパッケージ横には重要な注意書きがあるので、くれぐれも見落とすことのないよう。
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重要な注意書き(爆)
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参考事項
その昔、ある大学のキャンパスでコマドリが大量死しました。これは、DDT(殺虫剤)に汚染されたミミズをコマドリが食べたことが原因でした(土壌中のDDTが5.3ppmだったことに対し、ミミズの体内からは5倍の26.4ppmが検出された)。
また、イギリスのある会社では、カドミウムや鉛などを高濃度に含んだ製鉄所跡地にミミズを放って土壌を浄化する方法を実用化しており、成果を上げています。
DDTや重金属はミミズにとっても有毒です。しかし、ミミズはそれらに対する耐性が高いため、体に溜め込んでもなかなか死にません。かくして、毒をたっぷり濃縮したミミズができあがります(生物濃縮という)。
餌としてミミズを用いるときは、この汚染の不安が付きまといます・・・。
しかし、汚染ミミズのリスクを下げる方法があります。それは、サンショウウオに”キレート剤”を摂取させることです。
キレート剤とは、重金属と結合(キレート化)して毒性を抑制し、また、体外への排泄を促進する物質であり、手に入れやすいものにビタミンCやαリポ酸などがあります。
すなわち、何ら特別な対策を取る必要はなく、常日頃からビタミン剤等のサプリメントを使用するなど、栄養改善に気を配ることが肝要だということです。
シマミミズにはルンブロフェブリン(Lumbrofebrin、C9H18N2O6、タンパク質の一種)という薬効成分があり、これがサンショウウオに有害だといわれています。この薬効とは解熱作用であり(漢方薬:地竜)、田舎では子供に熱が出ると、おばあちゃんがミミズを煎じて飲ませるそうです。恐ろしい話です。さらに言うと、おばあちゃんが庭で捕まえてくるミミズはたぶんシマミミズではない(シマミミズはものすごく富栄養の所にいる)ので薬効成分はない・・・。恐ろしい。
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シマミミズ。餌としては評判が悪い。
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さて、もともと変温動物であるサンショウウオに、解熱作用がどんな悪影響を及ぼすというのでしょうか???
調べたところ、ルンブロフェブリンはチロシン誘導体(体内でアミノ酸の一種チロシンに変わる)だと分かりました。もしかすると、シマミミズの食べすぎは、解熱作用としてではなくチロシンの過剰摂取としてサンショウウオの生理に何らかのトラブルを引き起こすのかも・・・(解熱作用自体も「ルンブロフェブリン→チロシン→ドーパミン→アドレナリン→興奮状態→発汗促進→熱下がる!」という単純なメカニズムだったりして・・・)。
ルンブロフェブリン以外にも、シマミミズの持つライセニン(lysenin)という成分に溶血作用等の毒性があることがわかってきました。実際に、実験的に餌としてシマミミズを常用したところ、100%が早い時期に死亡した事例を聞いています。
ライセニンはタンパク質の一種であり、タンパク質は熱に弱い。すなわち、(確証はないが)、お湯処理は毒性を消すことに有効かも!?(ただし、ルンブロフェブリンは熱に強い。なにしろ、数時間煮沸した後でアルコールを用いて精製する。)
このように、釣り餌のミミズは餌としてはいまいち。しかし、常用しない限りは問題ないようです。個人的にも、他のミミズが手に入らない場合にたまに与える程度であれば、害よりも、バラエティ豊かな給餌による益のほうが大きいという印象を持っています。
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シマミミズ
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ミミズは世界に3,000〜4,000種分布するといわれています。正しい同定は専門家でなければ無理だと思いますが、日本で一般に分布又は流通していて餌として利用される機会のあるミミズについては、下表のような見分け方ができます。参考まで。
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種類 |
見分け方と特徴 |
シマミミズ |
- 体節の中央が紫褐色で体節間が白っぽいため、縞々にみえる。
- 環帯は24体節目からはじまる。
- 背孔は第4体節と第5体節の間からはじまる。
- 25℃でもっとも生育がよいらしい。
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アカミミズ |
- 環帯は26体節目からはじまる。
- 背孔は第7体節と第8体節の間からはじまる。
- シマミミズより粗食に耐え、飼育・養殖が容易らしい。
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フトミミズ |
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体を囲むように剛毛が9本以上多数ある。(フトミミズ以外は8本4対。下図参照。)
剛毛は、ルーペで観察できます。
ミミズの体の表面には硬い毛(剛毛)があり、土の中を動くときの”スパイク”の役目を果たしている。(ミミズを生食すると、この剛毛が舌にざらつく食感を味わえるとか。)
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参考文献・・・日本土壌動物検索図説・青木 淳一(編)
土壌生物の世界・渡辺 弘之(著)
ヒトとミミズの生活史・中村 方子
ミミズの博物誌・ジェリー・ミニッチ
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