上げ底の作り方

 以下のような場合では、水槽に上げ底をするのが有効です。

  • 浅い水深を保ちつつも、全体水量は増やしたい。

  • レイアウト水槽で、砂を厚く敷くことなく後方を高くしたい。

  • 上げ底の下にヒーターを設置して、底床内の保温も確保したい。

  • 納得のいく底面濾過を自作したい。

ワニガメ水槽への設置例

 今回は、ワニガメの90cm水槽への設置例を紹介します。ワニガメ水槽に上げ底を行なおうと思ったのは、次のような理由からです。

  • 全体水量を増やすことで水質の悪化速度を緩和したかった。

  • 水槽内に水深の浅い所と深い所を設けたかった。万が一おぼれないように、水深が徐々に変わるようにしたかった。また、陸場を設けたかった。

  • 糞や食べ残しの掃除は、水槽内に水流をつけて汚れが一か所に集まるようにしておくと便利だが、ワニガメは水流をあまり好まないそう。上げ底をすれば、汚れは網目から下に落ちるので、上げ底の下の部分で水流をつけて汚れを集めればよい。

 1,2はサンショウウオなどの湿った環境に棲む生物や水辺の生物飼育で効果的であり、3については、水流を好まない魚の飼育にも応用可能だと思います。
 このように、生物の特徴を考えて設備を工夫するのは飼育の醍醐味のひとつだと思います。

上げ底ボードの自作

 上げ底ボードを自作しようとしたときに、まずはじめに思いつくのは、厚めの透明塩ビ板にたくさんの穴があいた”パンチングボード”を買ってきて水槽底面の大きさにカットし、塩ビ管などで”足”をつけて上げ底する方法だと思います。実際にショップではこのようにして作ったオリジナル上げ底ボードが売っていることがあります。
 しかし、この方法で作ってみようと思うと壁にぶち当たります。それは、パンチングボード自体が手に入れにくい!のです。大きなホームセンター資材館をはしごして探しても見つからない(薄っぺらなのは売っていましたが・・・。地方在住は、こういう場合に不便だ)。

 売っていないものはしかたありません。通販を利用するのも手ですが、ここは手に入りやすいもので代用しましょう。塩ビ管と園芸ネットの登場です。

材料

  • 塩ビ管(φ長さ1.0m)を4本(これを適当な長さに切ります。塩ビカッターで25cm6本、38cm4本にカットしました)

  • 塩ビの三又分岐を4個

  • 塩ビのエルボーを4個

  • 切り売りの園芸ネット(幅1.0m)を50cm

  • 結束バンド

 材料は私が使った数量ですので、作りたい大きさにあわせて適宜そろえてください。ま、塩ビ管は活用できる機会も多いので多めに買っておいても無駄にはならないと思います。ホームセンターで二束三文で買えますし。

あると便利な道具

  • 塩ビカッター

 簡単に塩ビ管が切れて超便利。使い方も簡単。まずはネジをまわして”丸刃”を塩ビ管に食い込ませる。そのまま塩ビ管の周囲をぐるぐると回転させるように、塩ビカッターを動かすと塩ビ管に切れ込みが入ります。徐々に丸刃を食い込ませながらぐるぐる回すと、あっさり塩ビ管が切れるのです。
 アクアリウム器具の自作を今後も続けていきたいなら、絶対持っていたほうがいい。3,000円弱。

作成の手順

  1. 塩ビ管を適当な長さに切って、右写真のように組み合わせます。このように、はしご状に配置した塩ビ管が園芸ネットを張る骨組みです。
     なお、塩ビ管同士は差し込んで固定するだけで、接着はしません

  1. ここで試しに水槽にセットしてみて、大きさなどをチェック。

  2. 大きさ微調整後、それにあわせてネットを切ります。大きめに切って無理に押し込むと、ネットが波打つように変形して見た目も悪くなるので、端が塩ビ管の骨組みより外にはみ出さないような大きさに切ると良いです。

  3. 続いて、骨組みを水槽内にセットします(上げ底の下に置きたいポンプやヒーターなどはあらかじめセットしておきましょう)。水槽の枠などにつかえてうまく入れられない場合は、一部の接続箇所を外して分解してから入れ、中で再度組み立てるようにします。ここで、塩ビ管で足をかませるなどして、上げ底の高さを調節できます。私は大きめに作り、傾斜をつけて水槽内に立てかけてはめ込んだので、足は必要ありませんでした。

  1. 最後に、ネットを骨組みに留めます。これにはオーディオなどに用いる結束バンドが便利ですが、狭い中での作業でなかなか面倒。(もし、4で骨組みを分解せずに水槽にセットできるようであれば、あらかじめネットを留めておいてもけっこうです)

  1. 以上で完成。上に砂を敷くなら、園芸ネットの上にさらに水槽用のウールマットを敷いてください。塩ビ製パンチングボードは高価だし、硬くて加工も大変。ネットの方が安価で、断然、通水性に優れています。近くで売ってなくて、かえってよかったですよ(負け惜しみ?)。

 園芸ネットを骨組みに留める方法は、もう少し工夫が必要(楽をするため)ですが、なんとか無事完成しました。

 ・・・しかし、完成写真を掲載することができませんでした。

完成写真がない理由

 なぜ完成後の写真が無いかというと、セットはしたものの、園芸ネットと塩ビ管の組み合わせはやはり見た目がよくなかったので気に入らず、結局、ほんの数日で水槽から取り出してしまったからです。取り出した後で、写真だけは撮っておくべきだったと後悔(失敗例も今後の参考になるので)。

 また、上げ底の下にたまった汚れの掃除も予想以上に面倒でした。予定では、ちょっと上げ底を持ち上げて隙間を作り、そこから汚れを吸い出すはずだったのですが、上げ底が大きすぎて水槽のふちにつかえてしまい、十分な隙間を作れなかったのです・・・。

つーわけで

 ちょっと失敗ぎみの事例紹介となりましたが、埋もれさせてしまうのはおしい。
 今度、水草水槽を新規に立ち上げるときは、この上げ底を作って、その上にウールマットを敷いて砂を入れようと思っています。砂を入れてしまえば、上げ底は(たとえ不恰好でも)見えなくなりますからね。リベンジなるか!?

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