油膜取りユニット

 気がつくと、いつのまにか発生している油膜。
 ”油”膜といっても主成分は油ではなく、バクテリアの死骸などの有機物や藻類の仲間だといわれています。

 タンカーの重油流出の際に使うオイルフェンスと同じ素材であることをうりにした市販の油膜取りスポンジがあるが、ちょっと恥ずかしい・・・。

油膜の害

 油膜は観賞上見苦しいばかりでなく、水面での気体のやり取り(酸素の溶け込みなど)を阻害したり、光の透過率を下げて水草にダメージを与えるなどします。油膜中には有害バクテリアが発生するなんていうウワサも。

油膜をなくすには

 対策は簡単で、エアーポンプを使ったり排水パイプを水面上に出すなどして水面を波立たせ、油膜を攪拌すれば、きれいさっぱりなくなります。

 しかし、水草水槽では二酸化炭素の発散を避けるため波立たせないようにするのがセオリーであり、また、水面のゆれを嫌うタイプの魚(虫が水面に落ちた時の振動を敏感に察知する種類など)にはよくありません。

 市販の油膜取り装置として「エーハイム油膜取り」があります。これは水面付近に吸水口をもうひとつ設けることで、直に外部濾過器に油膜を吸い込むというものです。
 今回、この仕組みを参考に、外部濾過器に油膜取り能力を追加するユニットを自作してみました。
 毎度のことですが、すご〜く簡単に作れます。

油膜取りユニットを作る

材料

用意するものは、右写真の左側から順に、
  1. 吸水パイプ(外部濾過器で使用中のもの)

  2. 1の吸水パイプより少し太いパイプ

  3. 2のパイプの内径に合わせて切り取った園芸用ネット

  4. 2のパイプの内径に合わせて切り取ったスポンジ

作り方

 以上の部品を下図のとおり組み合わせれば出来上がり。


完成。水槽に固定するためのキスゴムをつけておく。

水槽にセット

 最初に、油膜吸込口が水面下数cmの深さにくるようにセットし、濾過器に電源を入れます。ここから徐々に位置を上げて、水面付近の水がユニット内に落下するように微調整してください。

 位置が決まると、まるでブラックホールに吸い込まれるかのごとく油膜が消えていくでしょう。吸い込まれた油膜は外部濾過器で濾過されて、きれいな水が水槽内に戻ります。

小さな生物を吸い込まない工夫


何かと役立つ園芸ネット

 ぐんぐん油膜を吸い込む姿を見ているうちに、魚まで吸い込んでしまうんじゃないかと不安になってきました。
 そこで園芸用ネットの登場です。これを適当な長さに切って丸めて油膜吸込口に差し込むのです。濾過器内に大きなゴミを吸い込まない事にもなって一石二鳥!

 なお、ネットをつけると水の落下が少し制限されるため、油膜吸込口を水面下深めにセットするようにします。

注意点

 外部濾過器の吸水パワーが大きすぎたり、油膜吸込口からの落下水が少ないと、ユニット内の水位が極端に低下して空気を吸い込んでしまう事があります。水換え時の水位低下や、本体側の吸水口にゴミが詰まったり油膜吸込側のネットが枯葉で塞がれるなどして水がスムーズに落下しなくなっても、同様の現象が起こり得ます。
 そうなったとしても、濾過器が空回りした時点で吸水パワーが低下し、ユニット内の水位が再び上昇して元の状態に戻るのが普通ですが、最悪の場合、ずっと空回り状態になって火災発生などの危険がないとも言い切れません。

対策

 対策としては、メイン吸水口をなるべく深い位置に設け、油膜吸込口との落差を大きくとること。これを考慮するだけでかなり改善されます。
 また、しばらく家を留守にするときなどは、油膜吸込口を水面下深めにセットして、空気吸込みが起きないようにしておくことも必要と思われます。

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