気泡病

 幼生にみられる病気で、眼球や皮膚のすぐ下に小さな気泡を生じます。ひどくなると、浮力のためうまく泳げなくなったり水面に浮いたまま潜れなくなったりします。
 気泡は毛細血管の塞栓や破裂を引き起こし、皮膚の壊死、敗血症という順に悪化して、最終的には浮いたまま死を迎えます。

原因

 原因のひとつは、高すぎる水温です。
 水に溶け込むことができる気体の量は、水温が高いと少なく、低いと多くなります。水温が急に上がると、それまで溶け込んでいた気体が溶けていられなくなり、不安定な状態になります(過飽和=気体が普通以上に水に溶け込んだ状態。炭酸入りジュースのイメージ)。このような過飽和水中では、気体が組織中に過剰に進入し、体内に気泡を生じます。
 同様に、急激に体温が上がると血液そのものも過飽和になるので、直接的に血管中に気泡を生じることがあります。
 自然下では、大量発生した藻類などの光合成による酸素で過飽和になる現象が知られています。

 もうひとつの原因は、もともと過飽和となっている井戸水などを水換えに利用することです(井戸水はいかにも自然で、生き物飼育に最適なイメージがあるが、この過飽和の問題だけでなく水質が特殊な場合もあるので利用は慎重に)。
 また、外部ろ過器などでポンプを使用している場合は、ろ過経路のどこかに小さな穴や隙間が開いていて、そこから空気を吸い込んでいる場合に過飽和を生じさせることがあるので、点検が必要です。

治療

  • 過飽和の解消
     温度の低い水で水換えを繰り返し、安全な水にしてください。ポンプで水を循環している場合は、水をシャワー状にして戻すことで過飽和した気体を抜くことができます。

  • 薬浴
     すでに症状が進行して壊死が生じている場合は、薬浴(魚病薬の「パラザンD」や「グリーンFゴールド」など)により感染症を抑えます。魚に使うよりも低い濃度から試すようにします。

  • 予防
     小さなプラケースなどで飼育していると急激な水温変化が起こりやすいので、できるだけ大きな容器で飼育してください。断熱材で覆うことも効果的です。

参考

 傷んだ餌を与えたり、汚い水で飼育して腸内環境が悪くなると、お腹にガスが発生して気泡病と似たような症状を示すことがあります。これは「屁のたまりすぎ病」と呼ばれる病気で、放っておくと衰弱して死に至ります。飼育方法を正すとともに、一時的に水深を浅くして泳ぎを抑制し、体力の消耗を防ぎ回復を待ちます。
 また、溶存酸素量の少ない飼育水では、変態途中の幼生が水面に浮き上がって無理に肺呼吸をしようとし、空気の塊を飲み込んで同様の症状を呈することがあるといいます。高温時にはエアーレーションをするなど、予防が肝心です。

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