内部寄生

原生動物

 胃腸、胆嚢、膀胱、肺、生殖腺、血液など、様々な部位から原生動物の寄生が見つかっています。グループは、せん毛虫、べん毛虫、アメーバ、胞子虫、微胞子虫。病原性が非常に小さいかほとんどないものも多くあります。
 主な症状として、食欲不振、体重減少、腹水、下痢、血便、衰弱など。悪化すると致命傷になります。

見つけ方

 一部の種類は、新鮮なフンを顕微鏡で観察することで見つけることができるそうです。それ以外は発見に専門の技術が必要になるので、いなかったことにします。

種類 グループ 特徴
ニクトセルス せん毛虫 0.15〜0.2mmくらいの楕円形で全体にせん毛がある。内部には大核(栄養核)と湾曲した管のようなもの(漏斗部)が見える。混同しやすい原生動物に非病原性のオパリナ(サンショウウオに不要な老廃物から栄養を摂る)があるが、こちらにはそれらの構造が認められないことで判別する。
ディプロモナス、
トリコモナス、
トリパノゾーマ
べん毛虫 球形〜卵形。代表的な種類には前方に6本、後方に2本のべん毛がある(種類によって本数は異なる)。トリコモナスやトリパノゾーマの仲間の一種は、前方のべん毛のうち1本に波状の膜があり長く後方に伸びている。サイズは0.01〜0.02mm程度と小さいが、いずれも活発に動きまわるので見つけやすい。
ネグレリア、
アカンソアメーバ
アメーバ シスト(嚢子:殻に包まれて休眠しているもの)が見つかる。通常のシストは分かりにくいが、栄養型と呼ばれるシストでは、内部にそれっぽいやつ(いわゆるバブルスライム似)が観察できる。非病原性の種類も多く病原性かどうかを見分けることは専門家でも難しいようだが、もし赤血球など血便の証拠が一緒に見つかれば、病原性の可能性が高まる。
コクシジウム 胞子虫 フン中のオーシスト(嚢胞体:殻に包まれた卵のようなもの)が破裂して分散するので見つけにくい。球〜楕円形、バナナ形など様々な形をしている。両生類に推奨される駆虫薬は多くない。
ミクロスポリジア 微胞子虫 0.002〜0.02mmの洋梨形。液胞が反射して見える。両生類に用いる駆虫薬の研究はあまり進んでいない。

治療

  • 大原則
     治療を行うのは、フンの中に寄生虫が見つかり、かつ、寄生虫が原因と思われる病状がサンショウウオを苦しめている時のみです。健康なサンショウウオにも寄生虫はいます。余計な駆虫は薬の副作用ばかりでなく、寄生虫の死骸が原因となって炎症や急性アレルギーを引き起こすなど、深刻なデメリットが生じる恐れがあることを念頭においてください。(予防的な意味での駆虫を行いたい場合は専門家の指示を仰いで正しく行ってください。)

  • クリーンな環境に移す
     外部寄生の場合と同様に、多めに水を換えるかまったく新しい飼育設備に移し、再感染の危険を減らすことが重要。

  • メトロニダゾールの経口投与
     体重1kg当たり10〜20mgのメトロニダゾールを、1日1回、5日間服用させます。
     服用量が極めて微量(体重10gのサンショウウオならわずか0.00001g程度)なので工夫が必要。人工飼料に薬を染み込ませて食べさせる方法が考えられます。
     具体的には、フラジール内服錠(1錠当たりメトロニダゾール250mg。入手は産婦人科に相談)を水に溶かし、そこにレプトミンLサイズを10分間浸けてふやかしたものを1粒給餌します。薬を溶かすための水量は、以下の計算プログラムにより算出します。

    次の3項目に数値を入力し「計算する」ボタンを押してください。
    1.サンショウウオの体重:g
    2.溶かす薬の量:g(参考値:フラジール内服錠を用いる場合は0.25)
    3.人工飼料の吸水量:g(参考値:レプトミンLサイズ1粒を10分間浸ける場合は0.132)



    薬を溶かす水量:g(安全のため多めの量で溶かしたほうが賢明)

    ※レプトミンの吸水量は保存状態等の条件によって変わってきますが、今回私が実験した結果、10分間で0.132gを吸水したので参考までに示しました。

  • メトロニダゾールによる薬浴
     食欲がなくて上記を実施できない場合(寄生虫で弱っていればそれが普通かも)や、幼生を治療する場合ついては、薬浴で経皮的に吸収させます。1リットル当たりメトロニダゾール6.6mgの濃度で6〜8時間薬浴してください。
     具体的には、2リットルの水にフラジール内服錠を1錠溶かしよくかき混ぜた後、そこから100gをとります。これをさらに1.8リットルの水で薄めると、ほぼ目的とする濃度の薬液ができあがります。これを使って行ってください。

  • やりすぎないこと
     駆虫の目的は、体内の寄生虫を根絶やしにすることではなく、サンショウウオの健康を害さないレベルに戻すこと!

  • 参考事項
     特に病気の症状は出ていないが、フンの中に大量の寄生虫が見つかったり増加傾向が認められた場合は、飼育に何らかの問題が起きている可能性を疑ってください。この場合、必要なのは駆虫ではなく、飼育方法の見直しです。

後生動物(執筆中)

 体内に寄生する後生動物は、吸虫、条虫、線虫など。

見つけ方


顕微鏡(100倍)

 我が家のクロサンショウウオのフンの中でみつかった線虫の一種。ピコピコ体をくねらせていた。これは寄生虫の仲間ではなく、排泄後に集まってきた土壌線虫の一種と思われる。

種類 特徴
吸虫  
条虫 サナダムシに代表される、異様に長いきし麺のような例のアレ。
線虫  

治療

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