病気
飼育中のサンショウウオを病気にしてしまうことがあります。両生類を診てくれる獣医さんは非常に少ないため、現実問題として自分で何とかしなければなりません。
当コーナーでは、これらの文献をベースに勉強したことをまとめています。難しすぎて私には十分理解しきれない点も多々あります。やむを得ず自ら治療を行わなければならない場面でのみ、ここで紹介している内容を足がかりに検討してください。
【注意】各治療薬の分量は、成体に使用する際の目安です。幼生や幼体は、成体よりも薬に弱いため、同じ量を用いると重大な副作用が出る恐れがあります。
感染症
感染症は、細菌や真菌、寄生虫などの病原体が感染して引き起こす病気です。
輸送によるストレスや不適切な飼育 ─ 水質、湿度、温度、光周期、床材、過密飼育、飼育種の組み合わせ、シェルター、栄養などの不備
─ により、免疫力が衰えたときに症状が表面化します。
治療方法は、とにかく不適切な飼育をできるだけ正して免疫力の回復を図りながら、足りない分を薬などを使ってサポートすることです。
細菌感染
細菌は単細胞の微生物で、バクテリアとも呼ばれます。
細菌感染に特徴的な原因として、冬の低温時において、腸内の好気性細菌が一時的に減少し病原性の細菌が悪さをしやすい状態になることが知られています。さらに、胸腺(免疫細胞を活性化するホルモンを出す)が夏に発達し、冬に退化するという報告があります(冬眠中の死亡事故が多いのはこのせいかもしれません)。
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いろいろな細菌
(明瞭な"核"を持たない原核生物)
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感染ははじめ体の一部分に生じます(局所的な細菌感染)。
以下に、具体的な症状ごとに説明します。治療には主に抗生物質を用います。
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潰瘍や腫物
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皮膚の変色
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吻端の怪我
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神経系への感染
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眼球の異常
局所的な細菌感染が悪化して細菌がどんどん増え、血液の流れにのって全身にはびこってしまった状態を「敗血症」と呼び、体に様々な異常が現れ命にかかわる病気として恐れられています(全身的な細菌感染)。
敗血症の症状には、次のようなものがあります。
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レッドレッグ症候群(赤肢病)
真菌感染は、病原性を持ったカビの仲間が引き起こす感染症です。
サンショウウオが棲む湿った環境は、真菌にとっても繁殖しやすい環境であるにもかかわらず、この病気に関する報告はあまり多くありません。これは元々真菌の感染力が弱いことと、野生のサンショウウオが群れて生活しないこと(真菌は直接的な接触で伝染する)が理由です。
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真菌は明瞭な”核”を持つ(真核生物)
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代表的な真菌感染は以下のとおりです。
なお、真菌に効く薬は毒性が強い(真菌に効く薬は、同じ真核生物であるサンショウウオや人間にとっても毒になる)ので、十分に注意して使ってください。
- 水カビ病
寄生とは、ある生物が自分より大きな別の生物の一部分から栄養を摂って生活することをいい、体の表面に寄生する外部寄生と、体内に寄生する内部寄生があります。
野生のサンショウウオには常時数種類の寄生虫が感染しているのが普通です。これらの寄生虫はサンショウウオから栄養をもらいながら、しかし、大きな害は与えない絶妙なバランスで共に生活しています。
ところが、飼育下では、このバランスは簡単に崩れます。
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寄生虫のイメージ模型(うどん製)
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例えば、ある種の寄生虫はサンショウウオの体内で育ち、サンショウウオを食べたネズミやタヌキなどの体の中に入ってはじめて卵を産みます。飼育下では、サンショウウオが他の生物に食べられることはないため、このタイプの寄生虫は子孫を残すことができません。
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寄生虫のライフサイクル(例)
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一方、サンショウウオさえいれば繁殖できるタイプは、狭い水槽は子孫繁栄に好都合であり(狭いほど感染源に接触する機会が多く再感染しやすい)、どんどん数を増やしていきます。
飼育下のサンショウウオは、この例のようにバランスの崩れた”不自然な寄生状態”に置かれています。
ただし、不自然な寄生状態でも、健康面にはほとんど悪影響が現れない場合が多いので、過度な心配は不要です。日常の世話の中でフンや脱皮殻などの感染源をなるべく早く水槽から取り出し、再感染の機会を少なくするよう努めます。
掃除を長い間怠ったり、不適切な飼育でサンショウウオが弱ったとき、また、大きな環境変化の直後(野外で捕まえて飼育を始めた直後など)には、寄生虫が猛威をふるい、深刻なダメージを及ぼすことがあります。
以下に、一般の飼育者でも実施可能で、比較的安全性の高い対処方法についてまとめました。
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外部寄生(体の表面に寄生)
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内部寄生(体内に寄生)
その他の病気には以下のようなものがあります。
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気泡病
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むくみ
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栄養障害
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