外部寄生

原生動物

 サンショウウオの体の表面に寄生する原生動物(単細胞の微生物)には、せん毛虫とべん毛虫が見つかっています。
 寄生された皮膚は、過剰な粘膜に覆われくすんだ色に変色したり、ざらついて見えることがあります。外鰓に寄生した場合は、赤みが強くなることがあります。寄生箇所は細胞が破壊されて体液が滲み出し、また、外鰓への寄生は呼吸困難を引き起こして衰弱させます。
 広範囲に広がった場合は致命傷になります。

見つけ方

 症状が出ている部分を少しこすり取り、顕微鏡で観察してみてください。

種類 グループ 特徴
トリコディナの仲間 せん毛虫 円盤状で、周囲にせん毛がある。せん毛はぐるぐる回っているようにみえる。活発に動き回る。大きさは0.015〜0.135mm。
渦べん毛藻の仲間 べん毛虫 トロフォントと呼ばれる成長段階で寄生している。暗色、不透明で、形は球形又は洋梨形。トロフォントにべん毛はない。大きさは0.67mmに及ぶ。

治療

  • クリーンな環境に移す
     第一に、多めに水を換えるかまったく新しい飼育設備に移し、再感染の危険を減らします。非常に効果的。

  • 食塩水浴
     水1リットル当たり10〜25gの人工海水の元又は食塩を溶かした食塩水に5〜30分間浸けることで、駆虫の効果があります。溶かす量を4〜6gにして、24時間薬浴する方法もあります。

  • マラカイトグリーン
     1リットル当たり0.15mgのマラカイトグリーンによる1時間の薬浴で、駆虫の効果が認められます。

  • 重要!
     駆虫を行った後は、クリーンな環境に移すことが肝心。また、十分な成果を得るには、2〜3回程度、駆虫とクリーンな環境への移動を繰り返し実施します。

後生動物

 後生動物は多細胞の動物です。サンショウウオの体表には、チョウ(ウオジラミ)・イカリ虫・ヒル・ダニなどが寄生します。程度が小さければ、これらが深刻な健康被害をもたらすことは少ないと考えられています。しかし、寄生箇所から細菌等の二次感染を引き起こす恐れもあり、放ってはおけません。

見つけ方

 サイズが1mm程度以上あるものは、容易に肉眼で確認できます。また、一見レッドレッグ症候群のように皮膚が赤くなっていた場合、よく観察するとダニの集合体だったりする場合もあるそうです。


無害なダニの一種。(じゃないと困る)

 左写真は我が家の水槽内にいたダニの一種。
 もしもこのダニがあからさまに体表から発見され、また、そこの皮膚が炎症を起こすなどしていたのであればアセりますが、これはサンショウウオのフンを顕微鏡(200倍)で観察していたときに見つけたもの。
 無害な土壌性のダニで、水槽内の有機物分解の一翼を担っている存在だと思います。

治療

  • 除去
     皮膚の表面から、寄生虫を手作業で取り除いてください。数が多い場合は1度にすべて取り除こうとすると作業に時間がかかり、サンショウウオを弱らせてしまう恐れがあるため、数回に分けて取り除くようにします。

  • 食塩水浴
     水1リットル当たり10〜25gの人工海水の元又は食塩を溶かした食塩水に5〜10分間浸けると、寄生虫が体から離れることがあります。

  • クリーンな環境に移す
     再感染の危険を減らします。原生動物の場合と同様に、「除去」→「クリーンな環境に移す」という手順は、再感染が起きなくなるまで繰り返すことが肝要です。

  • イベルメクチン
     これは寄生虫の駆除薬です。水1リットル当たり10mgを溶かして30〜60分間の薬浴や、体重1gあたり最大0.0004mgを経口投与するなどの方法で使用します。入手は、個人輸入をするか獣医師に相談してください。

←前の病気をみる 次の病気をみる→
←戻る

トップページ > サンショウウオの飼育 > 病気 > 外部寄生

サンショウウオ URL : http://xto.be/ ご質問等ありましたら掲示板にお願いします。
※完全リンクフリーです。ご自由にどうぞ。