レッドレッグ症候群(赤肢病)

 以下のような症状が出た場合、細菌性皮膚敗血症(通称、レッドレッグ症候群)の可能性があります。

  • ももや腹部・喉元・喉元・指の皮膚が充血(血管が膨張)して赤くみえる。

  • 悪化すると潰瘍、出血、壊死を起こして皮膚がはがれたり、指の骨が飛び出したり、指そのものが取れてしまったりする。

  • 体重が減り、不活発で、体色がさえない。浮腫む。吐血する。

  • 最後には痙攣して、昏睡し、死に至る。


フトイモリの喉元の充血。カエルのももが赤くなる症例が多いため、レッドレッグ症候群と呼ばれるようになった。
参考文献より引用

原因

 レッドレッグ症候群は、飼育中の両生類の病気としてはポピュラーです。ところが、野生下の両生類ではめったに報告がありません。つまり、飼育が不適切なせいで(その結果免疫力が落ち)、この病気が招かれています。
 エロモナス菌による感染例が有名ですが、他の様々な細菌によっても同様の症状が引き起こされます。ちなみに、レッドレッグ症候群に限らず、細菌感染症は必ずしも一度に一種類の細菌が関与するとは限りません。同時に多重感染したり、それまで免疫力で押さえつけていた細菌が体力が落ちたところに付け込んで一気に勢力を広げたりします。そして、いっそう体力が落ち、さらに次々別の細菌が・・・。大急ぎで治療しないと大変なことに。

治療

  • まず最初に行うべきこと
     放っておくと、発症した個体を温床として細菌がどんどん増殖し、水槽内の細菌汚染が進みます。すると、一緒に飼育している他の健康な個体も、その免疫力では太刀打ちできなくなり、発症。このような拡大感染を防ぐため、発症した個体は速やかに隔離飼育するようにします。
     また、一匹触るごとに必ず手を洗い、汚染された手で他の個体を触ることのないようにします。
     環境中の細菌数を減らすために、水槽の大掃除をして清潔に努めることも大切です。ただし、病原菌だけでなく有用な濾過バクテリアも激減してしまうため、”木炭”による吸着濾過で大掃除後の浄化作用を補うようにします。木炭は1〜2週間程度経ったら取り除きます(時間が経つと、吸着した有害物質を逆に放出しはじめるため)。

  • 冷却療法
     0〜5℃の低温で9〜11日飼育することで細菌の増殖を抑え、回復に成功した例があります。冷却には、衛生上も専用の冷蔵庫を用意したほうが賢明。もしも、台所の冷蔵庫に病気のサンショウウオを隔離していることが奥さんにバレたら、半殺しにされる危険があるので十分注意します。

  • 食塩水&抗生物質
     0.15%の食塩水を塗布または薬浴することで、皮膚表面の細菌のコロニー発達を抑制できます。抗生物質と食塩水を併用することで、良い成果を期待できます。抗生物質については局所的な細菌感染の各治療例を参考にしてください。

  • 消毒薬
     各種の殺菌消毒薬 ─ クロルヘキシジン・塩化ナトリウム(食塩)・過マンガン酸カリウム・クロル石炭(さらし粉)・硫酸銅・塩化第二水銀・ホルマリン・フェノール(石炭酸)・トリクレゾール(クレゾール)など ─ が市販(一部は購入に印鑑が必要)されていますが、これらを人間に用いる時の濃度は、サンショウウオにとっては致命的な濃度に当たります。使用に当たっては、実績の多い熱帯魚への適用事例を参考にし、その事例よりさらに低濃度から試すようにします。

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