ドライタワー経過レポート1999. 8.10 順調なファーストステップ 1999. 8.10 順調なファーストステップテトラの液体の試薬でアンモニア・亜硝酸の濃度を毎日〜1日おきくらいで計測し、実際に濾過の立ち上がりを調べてみることにしました。 条件
ファーストステップ7月20日〜30日までの報告です。濾過の立ち上がりを良く表した、なかなかきれいなグラフとなりました。 有機物 → アンモニア立ち上げから3日目にアンモニア濃度(赤い折れ線)がピークを迎えました(1.5mg/l → 生物に非常に危険な状態)。すなわち、カメの排泄物中のアンモニアに加え、汚れをアンモニアに分解するバクテリアが3日間で相当数発生したと考えられます。 アンモニア → 亜硝酸 アンモニア濃度が高くなってくると、今度は、このアンモニアを亜硝酸に分解するバクテリアが増えてきます。アンモニア濃度のピークから1日遅れて、早くも亜硝酸濃度(青い折れ線)がピークを迎えました(1.0mg/l以上 → ほとんどの魚にとって非常に危険)。アンモニアを亜硝酸に分解するニトロソモナスと呼ばれるバクテリアが働き始めたようです。 亜硝酸 → 硝酸塩 亜硝酸を比較的毒性の少ない硝酸塩に分解するのはニトロバクターと呼ばれるバクテリアです。7月30日、亜硝酸濃度がピークを迎えてから6日目、亜硝酸が急激に減りました。 ドライ濾過では半年かかるともいわれる濾過の立ち上がりですが、意外に早くろ過が効いてきました。 この理由として考えられるのは、
などが挙げられます。 もう一つ考えられるのは、有機物がアンモニアに分解される過程がまだうまく機能しておらず、アンモニアの供給自体が少ないかもしれないということ。 とはいえ、濾過器を付けていない頃は1日で水がドロリと白濁し、生臭い匂いが生じました。濾過器をつけて亜硝酸濃度がピークを迎えた頃から、明らかに水の生臭さが消え透明感も増してきました。 ひとつの疑問 毎日90%の水換えをして、その際、カルキ抜きをしなかったにもかかわらず、案外良い結果となっています。家の水道水のカルキが薄いのか、それともバクテリアは意外にカルキに強い(強くなった?)のか。 1999. 8.31 水量がカギ!?グラフに7月31日から8月31日までの水質計測結果を追加しました。この間、おもしろいような変化はありませんでした。アンモニアも亜硝酸も、低レベルで行ったり来たり。8月16日にプロテインスキマーを設置したのですが、目に見えて汚水が除去できたにもかかわらず、残念ながら水質の数値変化としては表れていません。 なお、プロテインスキマーを設置すると同時に、アンモニアの計測を終わりとし、硝酸塩(緑の棒グラフ)の計測をスタートしました。 濾過の立ち上がりとは、すなわち亜硝酸が検出されない事。 さて、今回、私が重要と感じたのは、水量です。 水量がカギに!現在ワニガメ水槽の全体水量は約20リットルで、亜硝酸の最低濃度は0.15mg/lでした(この値はTetraの試薬の説明書きによると”まだ許容できる状態”)。 例えば、単純に考えて、水量を2倍にすれば亜硝酸濃度は0.15÷2=0.075mg/l。この値はTetraの試薬の説明書きによると0.1mg/l以下、”理想的な水質”です。 濾材の量 普通いわれる濾材の必要量の目安は、水槽の容量に正比例しています。例えば、60cm水槽ならこのくらい、120cm水槽ならもっと多めのこのくらい、という具合に。当然、このことは、水槽が大きければ飼育している生物も多い・大きい、という想定があるわけですが、実際のところ(特に初心者のうちは)小さい水槽なら濾材も少なくて良いというふうに誤解してしまうことが多いようです。 念のため言うと、濾材(生物濾過用)は、濾過を行う濾過バクテリアの棲家でしかないので、量が多けば、即、濾過能力が上がるということではありません。要は濾過バクテリアの数が重要なわけです。 以上のことから、理想は「十分な量の濾材と、なるべく少ない濾過バクテリア」で濾過が立ちあがっている状態ということになります。 能力に定評のある濾材はそれなりに高価です。高価な濾材を導入し濾過設備を充実させることと、大き目の水槽に買い変え全体水量を増やすことは、水質を維持するという意味で同じような効果を持つといえます。とくに規格品の水槽なら比較的安価ですし、バカ高い濾材を買うより即効性も狙え、確実。 そんなわけで「全体水量もけっこう重要だゾ」と、自分に言いきかせているところです。そろそろ大きい水槽の購入を考えないと・・・。 1999. 9.28 計測値に誤り発覚 ドライタワーを設置してから2ヶ月ちょっと。 これまで、亜硝酸濃度はほぼ”0.15mg/l(まだ許容できる状態)”で安定していました。ところが、正しい測り方では、さらに1ランクくらい低い濃度になります。0.15mg/lの1ランク下は”0.1mg/l以下(理想的な水質)”です。亜硝酸濃度0.1mg/l以下の状態を”ドライタワー濾過の立ちあがり”ということにすると、私の知らない間に、濾過ができあがっていたかもしれないわけです。 恐る恐る正しい測り方で計測してみた所・・・まだ、0.1mg/l以下にはなっていませんでした。未だ濾過が立ち上がっていないことを、喜んでいいのか悲しんでいいのか。 この濾過システムでは、硝酸塩濃度は水換えで排除しない限り上がり続けるわけですが、プロテインスキマーを併設することで硝酸塩の元となる汚れを排除し、濃度上昇スピードを押さえている(ハズ)。グラフからは読み取れませんが。 さて、硝酸塩濃度を計測する意義として、濾過の立ちあがった水槽で水換え時期を知るということがありますが、この水槽ではほとんど毎日水換えを行っており、硝酸塩を測ることにあまり意義はないように思えます。 1999.10.30 立ち上がり完了まずは、グラフをご覧ください。 青い折れ線で表示してある亜硝酸塩に注目。 この結果を持って、ドライタワーの経ち上がり完了といえそうです。 結果:立ち上がりまでの時間、約2ヶ月。 半年くらいかかると聞いていましたが、けっこう早かったです。通常のウェット式濾過と比べても、極端に遅いということもありません。カメ水槽の濾過は、気休めにしかならないといわれますが、子ガメくらいであれば、ドライ式濾過で十分効果があるといえます。 ところが・・・・!!(激動の最終回へ) 2000. 1.25 まとめ、そして新たなナゾ今回が最終報告。 出来事メモのほうに書いたとおり、しばらく家を留守にした際に揚水トラブルがあり、なんと3日間、ドライタワーに水が流れないという事故が発生しました。ようやく立ち上がった矢先の手痛い出来事です。下のグラフで、10月9日すぎから亜硝酸濃度が上がっているのは、この事故の影響です(すぐにアンモニアの計測も再開)。 しかし、バクテリアが完全に死滅したというわけではなかったようで、その後ほどなくして、元の立ち上がった状態に回復しました。いや〜よかった。 まとめいま一度全体を振り返ると、まずはじめにアンモニア濃度が上昇し、それを追いかける形で亜硝酸濃度の増加が認められました。まさに教科書的な結果です。こういう結果を突きつけられると、肉眼で見えないとはいえ、濾過バクテリアというものの存在を信じないわけにはいきません(もちろん実際に存在するわけですが)。 「ドライタワーで濾過できるらしい」というウワサの硝酸塩に関しては、そういったことを示す結果を得ることはできませんでした。実際のところどうなんでしょう? さて、我が家のドライタワーは世間でいわれるよりずっと早い「約2ヶ月」で立ち上がるという結果になったわけですが、その原因として考えられることは、
などがあります。 1に関しては、バクテリアが汚れの分解をはじめるタイミングは意外に早く、水族館では、給餌の数分後にエアレーションを強化して分解を促進させるという事例もあるとおり、問題なかったと思います。それに、たまに水換えをサボったからといって、翌日、高濃度の汚れが検出されるということもありませんでした。 謎 実験の最終日、なんと再びアンモニアが検出されてしましまいた(;;)。この原因はまったくわかりません。その後は水槽の状態も良い事から、ただの計測ミスなのか、何かフクザツな要素が絡み合って水質が悪化したのか・・・。 以上でドライ濾過の立ち上がり経過報告は終了です。
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