継ぎ足し式ドライタワー バクテリアの力で有害物質を分解する生物濾過にはいくつかの方式があります。例えば普通の上部濾過器や外部濾過器のように、常に濾材が水没している状態で水を回す方式がウェット式、水が満ち干を繰り返すのがウェット&ドライ式です。そしてもうひとつ、ドライ式というのがあります。 ドライ式の濾過は、バクテリアの棲家である濾材をまったく水没させない濾過方式です。ドライタワーと呼ばれる長い筒の中にドライ濾過用の濾材を入れ、上からシャワーをかけるように水を流します。 このようにすることで濾材が常時新鮮な空気と触れ合い、濾過バクテリアに豊富な酸素が供給されて強力な濾過を行うことができます。さらには、タワーを飼育水が落下する際、存分に曝気されるため分解前のアンモニアが空気中に蒸発するという効果もあります。 ※ドライタワーを通過して粉々になったフンなどを水槽内に戻さないよう、タワー下部に沈殿槽を設置することがよく行われます。ここから”上澄み”が水槽に戻ります。 | | このように優れた濾過能力が期待できるばかりでなく、ドライ式で通常用いる濾材(右写真)は目詰まりしにくいため、メンテナンスの手間がかからないことも大きな特徴です。このため、水族館等でも広く採用されています。 仕組み自体は簡単なので、自作に挑戦することにしました。 ところが、ドライタワーとして一般的に用いられている透明塩ビ管は非常に高価で、そもそも近所のホームセンターには売っていませんでした。・・・ならば、手に入れやすい材料を用いて作るのみ。 | ドライ濾材「アトロボール」 | 継ぎ足し式ドライタワー そこで、「継ぎ足し式」の登場です!(えらそうに言うほどのもんでもないが・・・) これは、いくつかの筒状の容器を差し込んでつなげることで、タワーを作る方法です。 安価なこと以外にも、飼っている生物が成長して水の汚し度合いが増しても高さを追加して濾過能力を増やせるという利点があります。(限界高はタワー上部に水をくみ上げるポンプの揚水能力によって決まります。) 以下に、タワーの作り方を説明します。 材料 | 私が用いたタワーの材料は、100円ショップで買って来たパスタや麦茶などを入れる直径8cm・高さ28cmの容器。 容器は、上から下に向かって少し細くなっているものを選びます。 今回は4本用いて”四重の塔”にしました。 | 製作手順 -
孔を開ける 全ての容器の底面に、ドリルや熱したドライバーなどで孔を開けます。あまり端のほうに多く開けると、水が容器の内側の面ばかりを伝ってしまい、肝心の濾材に流れなくなるので注意します。 | | -
継ぎ足す 次に、中に濾材を入れ(写真では入っていません)、順にぐいっと挿し込んで継ぎ足せば完成。4段重ねで95cmのドライタワーとなりました(税込み420円)。中には、濾材としてアトロボールが200個入りました。 今回用いたタワーの断面は、口の部分は円径ですが、底面は直線部のある不完全な円形だったので、継ぎ足し部分に三日月状の隙間でき、期せずして通気性がさらにアップしました。 | | 設置例 | ターゲットの水槽は、水草水槽の下段に置いていたカメの水槽です(当時)。タワーはビニールテープで水槽台の足にくくり付けました。上部に揚水パイプを取りつけ、下部には沈殿槽を置いています。 ポンプの電源を入れて、タワーの中を水がスムーズに流れているか確認し、滞っているようなら底面の孔をもっと増やすか大きくします。面倒なら、底をくりぬいてしまってもかまいません。 ※底をくりぬくと水の流れが最もスムーズになりますが、タワーごとにいったん水流を分断することで、ドライボールの表面を流れずにタワーの内壁を伝って流れ落ちる水(無駄な水流)が、再度、濾材の表面を流れる水流に乗るというメリットがあります。 | タワー内の水の流れのさらなる適正化及びタワー据付けのぷちアイデアについて、こちらをご覧ください。 ⇒ 「ドライタワーちょっと改良」 おまけ:沈殿槽 沈殿槽は、プラケースに穴を開け塩ビのエルボパイプをくっつけて作りました。 ここにヒーターや水温計などをいれ、メインの水槽内には余計なものを入れないようにすると良いでしょう。 沈殿槽を設置してから気がついたのですが、ポンプを止めた後で沈殿槽ごと運んで水を捨てれば、すごく簡単に水換えができます。ブラボー!沈殿槽。 | | ドライ濾過の欠点として、濾過の立ち上がりにかなり時間がかかるといわれているため、設置から半年程度は沈殿槽に吸着濾材を入れるなど、他の濾過装置と併用したり、水換え頻度を増やしたほうが安全と思われます。 濾過の立ち上がりまでの経過について調べるために、水質の継続調査を行いました。 ⇒ 「ドライタワー経過レポート 」 トップページ > アクアリウムひと工夫 > 継ぎ足し式ドライタワー |