2003年9月
2003. 9.30 ホクリクサンショウウオを訪ねて【前編】
1971年(S46)、石川県羽咋市内の越路野小学校グラウンド脇の側溝で小型のサンショウウオが発見されました。のちにホクリクサンショウウオと名づけられたこのサンショウウオは、開発行為などの影響で次第に姿を消していきましたが、現在は、保護活動が進められています。環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されており、また、羽咋市の天然記念物でもあります。
今回、ホクリクサンショウウオに会うため、そして、その保護の取り組みの様子を見学するため石川県を訪れました。前編、後編の2回にわけて報告します。
※当サイトのリンク集に、発見者である竹田先生のHPを登録させていただいてます。生態等の詳細については先生のHPへ。 → ホクリクサンショウウオ
いしかわ動物園
初日にいしかわ動物園を訪れました。
いしかわ動物園は、2001年に国内で初めてホクリクサンショウウオの飼育下繁殖に成功し、日本動物園水族館協会認定の繁殖賞を受賞しています。
「郷土の水辺」コーナーにホクリクサンショウウオが展示されていました。
ガラス面に顔をぎりぎりまで近づけ、注意深く探したところ・・・いましたいました!(^^)
皆、物陰に隠れていて全身をよく観察することはできませんでしたが、あちらこちらにシッポや鼻先を覗かせていました。生まれて初めて目にしたホクリクサンショウウオに大満足。
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園内に「動物学習センター」という施設があったので、ホクリクサンショウウオに関する資料を見たいと思い、勇気を出して(注:私は小心者)事務室の方に声をかけてみました。すると、手元に資料はないが、かわりにホクリクサンショウウオのバックヤード(普段は入れない展示施設の裏側)を案内してくださるとのお申し出(!)
予想もしなかった展開に心拍数が急上昇です。夢じゃなかろうか!?
感激のバックヤード!
表からはあまりよく見れなかったホクリクサンショウウオを、間近で見ることができました!
ホクリクサンショウウオは特に小型のサンショウウオです(成体でも全長10cm程度)。実物を見るまでは、いまいちイメージがつかめなかったのですが・・・、
実際のそれはあまりにもかわいすぎた。
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成体。ぷぷ、ぷりちい!(鼻血)
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なんて、なんて、あどけない姿をした生き物なんだろう。
四肢も尻尾も、ささやかにちょこんと付いていて、全身からかわいさのオーラがにじみ出ている。
人間にとって、いくら開発や経済発展が大事だからと言っても、こんな生き物を絶滅に追いやる世の中作りなんて、絶対いかんですよ・・・。
親が小さければ子も小さい。幼体のあまりの小ささに、さらにびっくり。よい例えが思いつきませんが、そう、小学生の鼻の穴に違和感なく差し込むことができるくらいのミニサイズなのです。愛らしいったらもう。ああああ〜!(もはや声にならない。)
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わずか3〜4cmくらいの幼体。
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バックヤードでの飼育設備について
バックヤードにはホクリクサンショウウオ用に2本の水槽(成体用・幼体用)がありました。展示用にレイアウトされた水槽と違って、こちらは生態を重視した飼育本位の設備です。
繁殖水槽。
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成体用の水槽は繁殖用の水槽にもなっていて、豊富な水場が用意されていました。目下、孵化率の向上が課題だとか。
生まれてから3年目で繁殖の準備が整い、寿命は少なくとも8年以上あることが確認できているそうです。餌はコオロギ、ミールワーム、ヨコエビなど。
表の水槽では、展示の都合上、不自然になりがちなライティングですが、バックヤードではタイマーで管理して、自然に近いサイクルの照明をしているそうです。
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幼体水槽。
クリックすると詳細をご覧いただけます。
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左の写真は幼体用の水槽の様子。
羽咋市の増殖池からこの春採取してきた卵のうから生まれた幼体が飼育されていました。
本来は自然の中で生活させるべきところを、動物園では、何か問題が起きたときに備え、飼育技術・繁殖技術を確立する目的で飼育しているのだそうです。
幼体の水槽内には一面に落ち葉が敷き詰められていて、掻き分けるとたくさんの幼体が姿を現しました。
なるべく自然な状態で放置するような飼育方法が良いそうで、餌は食べたいときに食べれるよう、幼齢のコオロギが放されていました。
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気軽な気持ちで訪れた動物園で、こんなにすばらしい体験が待っているとは夢にも思いませんでした。突然訪れたにもかかわらず案内してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。
※前もって連絡すれば、バックヤードを案内してくださるそうですよ。興味のある方は、迷惑にならない範囲でお願いしてみてください。
そうそう、この翌日、旅行のついでに金沢で試験を受けてきました。アハ〜ハ(爆)。
旅行最終日の3日目には、羽咋市での保護の取り組みを存分に見学してきました。語りつくせぬほどの収穫あり!
次回報告をお楽しみに。
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