2002年11月

2002.11. 5 糞詰まり
2002.11.10 給餌方針を決めた!
2002.11.11 糞は物語る
2002.11.23 サンショウウオ食文化

2002.11. 5 糞詰まり

 非常事態が発生したので急遽更新します。
 サンショウウオの師匠から、次のような内容のメールをいただきました。

  • 前回の写真のクロサンショウウオはやけに胴が太い。

  • これは、糞詰まりのため太くなっている可能性がある。

  • さらに、尾も太い。

  • これは、糞が胴に詰まってから尾のほうに送られてたまった状態の可能性がある。
    (注)尾の中に糞が入ってしまうということではなく、総排出腔のほうにまで糞が貯まってきて、尾まで太く見えるようになった、という意味に解釈しています(2002.11. 7追記)。

 ・・・あまりに恐ろしい内容に、心臓ドキドキです。
 確かによく太っているとは思っていましたが、むしろ健康な証拠だと考えていました。少しも異常と思わなかった自分の認識の甘さに呆れます。
 タダの太りすぎであれば良いのですが(イヤもちろん太りすぎは良くないのですが)、もしも糞詰まりであれば最悪死んでしまうことになるとか・・・。

給餌に問題があったのか

 これまでの給餌間隔、餌の量、種類、何かが適切でなかった可能性があります(私としては、消化が悪いといわれるミールワームやアカムシの与えすぎがあったことを憂慮しています)。
 また、今の飼育部屋では気温が下がって半冬眠状態になる恐れがあるため、その前にたっぷり栄養をつけさせる必要を感じ、この晩夏から最近にかけては1〜2日置きに食べたいだけ食べさせていました。症状を悪化させたかも(T_T)。

太り始めたのは2年近く前

 実は、現在のような体型になってきたのは最近のことではありません。当コーナーの2001年2月3日の記事をご覧ください。当時も普通の太り方ではないと感じながらも、「卵ができたのかもしれない」などと喜んでいるあたり情けない限りです。この個体が今も生きていることから、糞詰まりだとしても完全な閉塞ではないことは間違いありません。
 でも、このことは少しも安心材料ではありません。これは見方を換えれば、人間の成人病のように少しずつ病死に向かって歩みを進めてきている状況にあるとも考えられるからです。しかもサンショウウオの場合、生命力が強すぎることが仇となり、かえって苦しみを長引かせているのだとしたら・・・。

体重の推移を調べる

 本当に糞が出ていないのか、それともただの肥満なのか?
 まずは、やけに太っている個体についてはしばらく餌を与えることをやめて定期的に体重計測を行い、その推移から排泄量を調べることにしました。幸い、今年は寒さの訪れが早く(11月4日には新潟市で観測史上最も早い初雪を観測!)、すでに気温が10℃を切るほどに寒い季節になりました。クロサンショウウオ達の代謝は落ちており、少しの間食べなくてもなんら問題はないでしょう。
 本日の体重は以下のとおりです。

10匹の合計体重185g


29g

 急遽体重を測定しました。
 我が家のクロサンショウウオたちに大変な事態が起こっているのかもしれない・・・。


29g

28g

24g

22g

21g

15g

11g

3g (これはちびくろ)
 

3g (これはサンボ)

 繁殖の記録ではなくて、闘病の記録になってしまうかも(笑)。 ← まったく笑えないです!!!(T_T)

2002.11. 7 水場を設置

 いや〜、出た出た(^^)。今朝、でっかいうんこを出しました! 私が!

 さて、体重の推移を調べて排泄状況を確認する方法には大きな問題があることに気が付きました。私が持っているデジタル計量計は最小単位が1g。端数の内部処理にもよりますが、場合によっては1gもの巨大な糞をしないと、数値の変化として表れないかもしれないのです。これは60キロの人間でいうと2キロ近いうんこにあたります(爆)。ちなみに、ミールワーム10匹でようやく1gです。
 精度の高いアナログの計量計を入手するか、他の方法を考えなければなりません・・・。

 なお、掲示板で教えていただいた研究成果(※)によると、我が家のクロサンショウウオの体重は今の時期の正常なオスの2倍くらいだそうです。な、なんと!
 ひさしぶりに体重番付にエントリーしてみるか・・・(^^;。

※)Hasumi, M., and H. Iwasawa. 1990. Seasonal changes in body shape and mass in the salamander, Hynobius nigrescens. Journal of Herpetology 24(2): 113-118.

冷静な観察と判断

 前回の更新をした直後のメールチェックで、さっそくサンショウウオの師匠から返事が届きました。
 冬越しの準備期から産卵期にかけてのサンショウウオは肝臓や尾に脂を貯めるため、その結果尾の太さが目立つようになることがあるそうです(流水性のオスではより顕著だそうです)。
 また、師匠の飼育経験上も、サンショウウオの中ではクロサンショウウオは太りやすい種類だそうです。これは餌付けの容易さや餌食いの良さが関係しているのでしょう。

 師匠からは、むやみに心配せず冷静に観察して判断するように言われました。その言葉で、ハッと我に帰ったような気がします。
 クロサンショウウオ達が我が家に来てようやく5年4ヶ月。生物を語るには5年など本当に短い経験ですが、私の人生の1/6の時間を共に過ごしてきたのだと考えると、なかなか長い付き合いにも思えてきます。その間少しずつ養ってきた飼育感覚は、本を読んだりするだけでは得がたい財産です。生物の飼育はセオリーどおりに行かないことが多いもの。可能な限り判断材料を収集した上で、最終的には自分の飼育感覚を頼りに判断するつもりです。

排泄を促す方法

 排泄を促す方法としては、いつもメールで情報交換をさせていただいている有尾類飼育のベテラン、ボブサップさん(仮名)から、「浅めの水に一定時間入れる」という方法を教わりました。ボブサップさんのお宅では、こうすることで排泄することが多いそうです。これは試す価値があります。

 別の容器に移すことで、余計な刺激を与えたくなかったので、底床の一部を少し掘り下げて1cmほどの水深がある部分を設けました(来春産卵のための水場を設けることになった場合の水辺環境への慣らしの意味も込めて)。
 ここに入ったサンショウウオが便意をもよおしてくれることを期待します。

 便意をもよおすといえば、数年前こんなことがありました。
 どーしても知りたい人だけ、ここをクリック

2002.11.10 給餌方針を決めた!

 水槽の中にできるだけ平らな上れる場所を設置してやると、そこに上がって体表の湿り具合を調節し、ついでにその場で糞をすることが多くなるそうです(by 師匠)。
 これは良さそう。モノの上に糞をしてくれると掃除が楽ですし、未消化のものが残っていないかなどの観察もしやすく好都合です。

 さっそく”トイレ”として、プラスチック製の植木鉢の受皿を裏返しに設置しました(ちょっと小さすぎるか!?)。
 材質にプラスチックを選んだのは、上に出された糞を簡単に洗い流せるからです。
 なお、シェルターとしても使えるよう、脇に出入り口を開けておきました。

食滞

 ボブサップさんからのメールで、飼育温度が下がったことによる食滞(消化不良)の可能性があるかもしれないと教えていただきました。

 消化を担う消化酵素にはそれぞれもっとも有効に働く温度があります(人間の場合は体温に近い30〜40℃)。サンショウウオのような変温動物の場合、温度の合わない時期(野生では冬は冬眠、夏は夏眠で食欲が落ちる)にたくさん食べさせると消化が追いつかなくなるかもしれません。加えて、寒いと腸の動きも不活発になるしょう。

 そこで、いつも豪快に開け放していた飼育部屋の小窓(写真右手)を少し閉じぎみにして、多少冷え込みを抑えてみることにしました。

@:最高・最低温度計
A:連続pH計
B:送風ファン

 最近設置した最高・最低温度計をみると、窓を豪快に開けていた昨日のデータで、上は14.2℃(日中)、下は8.6℃(夜間)。さすがに夜間の冷え込みは厳しい。これが、ずっと居間で飼育されてきた我が家のクロサンショウウオたちが初めて経験する”冬”ということになります。

今後の給餌について

 精度の高い秤が入手できるまで、体重の推移を調べることはひとまず中止。給餌を再開することにしました。今後の給餌方法にはかなり悩みましたが、以下の方針としました。

頻度は今までどおりとし、1回の量を減らす。
※ただし気温低下に伴う食欲減少度合いに応じて、頻度も臨機応変に対応する。

 理由は、餌への反応速度、食いつく動作の正確さ、飲み込むスピードなど、給餌中はサンショウウオの調子を非常によく観察できるからです。また、ペットとして飼育している以上、餌を食べさせるのは飼育者の喜びでもあります。

 それに、ただ観察するだけでも、どうしてもシェルターの流木をどかす必要があります。すると「餌?餌なの?」と顔を持ち上げ、つぶらな瞳で見つめ返してくるのです。まさか観察しただけでシェルターを元に戻すなんてことは、オラには・・・オラにはできねえだよー。 (i д i) ハウー

2002.11.11 糞は物語る

 昨晩のことです。さっそく給餌方針のとおり餌(ふやかしたレプトミンSサイズを1匹1粒。消化に良さそう)を与えていた時、小柄な女性の小指の先ほどもありそうな糞が、先日設置したばかりの水場に沈んでいるのに気が付きました!

 崩れかかった糞を見つけることは多いですが、ここまで新鮮な(?)完全体はなかなか珍しい。
 そっと取り出して観察したところ、糞の中には未消化のミールワームの外皮がぎっしり詰まっていました。
 ミールワームの外皮が消化されないことは、水換えのときの排水中にたくさんの外皮が混ざることで知っていましたが、こうも凝縮されて排泄されるとは・・・。

 これが便秘の原因になるかはわかりませんが、少なくともあまり良くはないでしょう。ミールワームを与える際は、一度にたくさん与えないよう十分に注意しなければなりません。


クリックすると詳細をご覧いただけます。

糞詰まり騒動の原因を推定

 糞中の外皮の量は、ざっと見た感じ1回に与えるミールワームの量を超えている。最後にミールワームを与えたのは丸1週間前(11/3)だったことを考えると、それ以前に与えたミールワームも含めて、昨日までずっと体内に残っていたことを意味します。

 私は以上のことから、今回の糞詰まり騒動は、「深刻な腸閉塞はなく、排泄ペースが給餌量に追いついかずに、次第に糞がたまって体重増加」と推定するに至りました。

 これから食欲の落ちる時期を迎えることで排泄ペースが追いつき、心配せずとも適正体重に戻ってくれることに期待がもてます。

体重の推移

 もしやと思い、29gの巨大個体2匹の体重を量ってみました。なんと・・・2匹とも26gにまで減っているではありませんか!実にマイナス3g。
 前々回、クロサンショウウオが1gのうんこを出せば、人間なら2キロにあたるなどと品のない例えを出したばかりですが、今回は人間なら6キロ・・・。出産でもそんなには減らないでしょう。


わずか5日で3gの体重減!信じがたいが事実である・・・。

 ちなみに私自身、いちぢく浣腸による強制排便の前後で体重を量ってみたことがあるのですが、差し引きたった100gでがっかりした思い出があります(タダでさえ少ない女性のアクセス数が、近ごろ急速に減ってきた気がする)。

2002.11.23 サンショウウオ食文化

 日本にはサンショウウオ食文化を持つ地域があります。標高数千メートルの山々に囲まれた福島県の檜枝岐もそのひとつ。
 先週末ふと思い立ち、檜枝岐までサンショウウオを食べに行ってきました。


道中立ち寄った奥会津、田子倉湖

唐揚げを食べてみた

 サンショウウオの唐揚げを前にして、しばし物思いにふける(^^;。
 「生物を飼うことは、生物を食べることと似たようなものだ」とどこかで読んだことがあります。どちらも生物の命を人間のために消費するということに違いはない。せめて、ありがたくいただくことにします。


料理名「天然サンショウ魚の唐揚げ」
血行促進の効果があるとのこと。
付け合せはラッキョウとまたたびの蜂蜜漬けです。

 まずは尻尾の方からひとかじり。味は小魚の一夜干しを天ぷらにした感じ。丸揚げで内臓もぎっしり詰まっているのですが、クセも苦味もなくおいしい。

 ただ、好奇心から唐揚げの”衣”を剥がしてみたのは悪趣味だったと反省。中から現れたのはハコネサンショウウオの悶絶したお顔でした・・・合掌。
 しっかり味わいながらいただきました。ごちそうさまでした!


衣の内側の様子
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サンショウウオ URL : http://xto.be/ ご質問等ありましたら掲示板にお願いします。
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