2002年12月

2002.12. 6 半冬眠!?
2002.12.12 食べました(^^)
2002.12.22 ヒーター設置
2002.12.27 幼体の成長差

2002.12. 6 半冬眠!?

 クロサンショウウオたちの様子が少しおかしいんです・・・。

 餌を与えようとしてシェルターを動かすと、とてもイヤなことをされたようにもぞもぞと身を隠すようになってしまいました。光を嫌うクロサンショウウオですが、飼育個体は給餌を期待して顔を持ち上げる行動を示すようになります。ペットとして、とてもかわいい仕草であり、健康状態を知るバロメーターでもあったのですが、これがなくなってしまったのです(;;)。

食欲ゼロ

 当然食欲もなく、先月中旬から餌を食べない個体が増え始め、月末には全ての個体がまったく餌を食べなくなってしまいました。
 シェルターから顔を出している個体に給餌してみても、ピンセットを近づけるだけで後ずさり。ダメだ・・・(;;)。

 こういう状態(半冬眠?)になることを心配して秋口にたくさん餌を与え、便秘騒動に発展するほど太らせてしまったわけですが、それで心配が和らぐはずもありません。特に2匹の幼体はまだ生命力も弱い・・・。不安です。

飼育部屋の温度について

 食欲がなくなりはじめた当初は飼育部屋の窓を少しだけ開けており、室内温度が最低で7℃ほどにまで下がることがありました。
 そこで急遽窓を完全に閉じることにしたところ、最高16℃台、最低9℃台に。下はまだ低いものの、上の16℃という温度は経験上クロサンショウウオがバツグンの食欲を示す温度です。それなのに食欲回復の兆しはまったくありませんでした。
 いったん冬眠モードに入ってしまうと、多少温度を上げてもすぐには元の調子に戻らないのでしょうか?それとも、何か別の問題があるのでしょうか?

 そんなある日、飼育部屋の最高・最低温度をチェックしていて、ようやく気がついたのです。現在の温度管理に重大な問題点があることに。

極端な温度変化

 クロサンショウウオは森林の林床にひそみ、土壌生物と呼んで差し支えないような生活を送っています。そこは一日を通して温度変化が小さく、その変化する速度も緩やかな世界です。

 ところが、我が家の飼育部屋ときたら、昼間と夜間で7℃もの温度差があるではありませんか!

 これ、絶対よくないって!!!

どうすれば!?

 一番簡単なのは、ヒーターを入れて一定温度に暖めること。冬眠もさせなくて済みます。
 冬眠は、それがサンショウウオにとって自然な姿であるし、繁殖に向けて生殖ホルモンの分泌を促す意味でも重要です。また、冬眠の様子には知的好奇心も膨らみます。

 でも、ペットとして飼育している以上、「冬眠に失敗して死んでしまう可能性がある」ということが、メリットの全てを打ち消してしまうのです・・・。

迷い、悩む

 最低で15℃に設定できるサーモが普通に売られていますから、十分クロサンショウウオに適した温度で管理が可能です。
 ただ、せっかく季節変化を体験させ十分に冷やすことができる環境になったのに、ヒーターで暖めてしまうのは”飼育環境の後退”のように思えてなりません。

 それに、これまでずっと冷やすことばかり考えてきたサンショウウオの水槽にヒーターを設置することは、正直に言うと心理的な抵抗もあるのです・・・。

 いっそきっちり冷やし、冬眠させる覚悟を決めるべきなのだろうか。

 クロサンショウウオたちがまったく餌を食べなくなってしまった以上、あれこれ迷っている時間はないというのに、悩みながら数日が過ぎてしまいました。

 しかもなれないイラストを描きはじめて、記事の更新までにさらに数日を要するはめに。

当面の方針

 やはり、まずはヒーターは使わずに、以下の方法で1日の温度変化を抑えてみることにします。

  1. 送風ファンの稼働時間を短くする。(繰り返しタイマーで制御。)

  2. 水槽の前面・底面に断熱材を設置する。(両サイドと背面には既に設置済み。)

  3. 飼育部屋の窓に断熱フィルムを貼る。

 改善が見られなければ、改めてヒーターの設置を含めて再検討します。また、15℃を下回る温度に設定できるサーモも探してみます。情報があったらどうぞ教えてください。

2002.12.12 食べました(^^)

 大変遅くなりましたが、クロサンショウウオが餌を食べてくれたので報告します。

 なぜ遅くなったかはお察しください(笑)。

7日

 6日夜から送風ファンを止め、水槽の底面に断熱材(発泡スチロール)を追加しました。
 多少温度変化が抑えられたわけですが、シェルターから顔を出していた個体だけに給餌(冷凍アカムシ)してみたところ、量はほんのわずかでしたが、成体が3匹、幼体は2匹とも摂餌!

 特に幼体が食べてくれたことで、安堵のあまり涙がにじみそうになった(笑)。

8日

 この日は小雪がちらつく寒い一日となり、飼育部屋の温度も10℃近くまで下がったのですが、どことなく物欲しそうなクロサンショウウオの様子、すなわち、

  1. シェルターから顔を出し、

  2. 両手を力強くつっぱって上体をもちあげ、

  3. 視線を上に向けてピクリとも動かない

という様子が観察できたので、そうっと冷凍アカムシを差し出してみました。

 すると、前日にも増してすごい勢いで食いついてきたではありませんか。これは!と思い、冷凍アカムシに加え、レプトミン(冷凍アカムシの解凍汁でふやかしたもの)を用意し、ひさしぶりにシェルターを全てどかして本格的な給餌に臨みました。

 結果・・・全ての個体が食べてくれました!!!!!!!!

 そのうれしさ、安堵感といったらもう・・・ (>_<。)
 二浪の息子に合格通知が届いた心境です(息子いないけど)。

 このような時期に餌を食べさせてしまった以上、もう冬眠は考えません(消化・排泄を済ませる前に冬眠状態になると、食べたものが体内で腐敗する等の恐れがあるという)。
 飼育のベテランの方や、クロサンショウウオの真の健康を考える方は、餌など与えず冬眠させる方を選ぶのかもしれない。自分はまだまだ飼育者として未熟なのだろう。ま、いっか(^^)。

 温度を下げないために、飼育部屋の扉を開け放してキッチンさらに居間と空気を流通させました。

本日の給餌

 本日は前回の給餌から4日目。ずいぶん間が空いた気がしたけれど、たった4日しか経っていなかったとは・・・(どうも私はこの辺の時間感覚に乏しいらしい。餌のやりすぎという失敗を繰り返さぬよう給餌記録をつけたほうが良さそうだ)。
 まだ早いとは思いつつも、様子見を兼ねて給餌(冷凍アカムシ&レプトミン)したところ、スゴイ食欲を見せてくれました。ある個体が餌に食いつくと、その頭に隣の個体が食いつき(!)もう大騒ぎ。完全に餌食いは回復したとみて良さそうです。

 給餌時の底床温度は12℃でした。今後の温度管理の参考としたい。

注)次回はイラスト無しということで・・・。

2002.12.22 ヒーター設置

 ヒーター設置を決心しました。
 これまでエアコンのある居間のドアを開け放すことで、飼育部屋の温度を12〜13℃に上げていたわけですが、当然居間の温度は下がるわけでして(激冷)、もう寒くて寒くて。

 んで、1週間前の話になりますが熱帯魚ショップに行って、お目当てだった15℃を下回る電子式サーモを見つけました。そのお値段なんと1万6,000円。聞いてみると、やはり15℃を下回る製品は一気に値段が高くなるのだそうです。電子式はあきらめて、バイメタル式を買って帰りました(1,400円)。

バイメタル式サーモスタットの仕組みについて

 バイメタル式のサーモとは、2種類の熱膨張の異なる金属を張り合わせた金属板(バイメタル)が組み込まれたサーモスタットです。温度が上がると2つの金属の膨張率の違いでバイメタルが反り返って接点から離れ、通電がOFFになる仕組みになっています。
 温度設定には、温度調節ネジを微調整する必要があり、私はこれがどうも苦手なことと、本体内部に水分が進入して接点が腐食してしまう事故を経験したため、以来敬遠してきたのですが、この際仕方ありません。

設置上の問題が発覚!

 バイメタル式は検温部本体がかなり大きく、今回購入したもので20cmちょっと。そのうち下15cm弱(写真の青いラベルまで)を水中に入れないと正常に動作しないという仕様です。

 あら〜、クロサンショウウオ水槽の水位(床材の厚さ)は10cmほどしかないんですけど・・・(^^;。水槽の中はいじりたくないし、どうしよう・・・。


 水槽の中がダメならば、外に設置する方法を考えればよい。
 しばらく悩んだ末、解決案がひらめきました。それは外部濾過器を湯煎して間接的に水槽の水を温めるという方法です。効率的には良くないものの、これが一番手っ取り早い方法だと考え、さっそく次のとおり湯煎水槽を設置しました。

外部濾過器を湯煎する


両サイド、バック、底面は保温のため発泡スチロールで覆ってある

 小型水槽に外部濾過器を入れて水を満たしました(外部濾過器のモータヘッドに浸水しないよう水位に注意)。この水槽にサーモやヒーターを設置して外部濾過器を湯煎し、中を通る飼育水の温度を上げるわけです。

 ついでに?外部ポンプも水中に入れてしまいました(現在外部濾過器の電源は切ってあり、こちらの外部ポンプで水をまわしている)。外部ポンプは稼動中わずかに熱を持つので、その熱も加温に有効利用しようと思いまして。そのせいで水温が上がりすぎることもないでしょう。

※湯煎用水槽の水は、一切、飼育水とは流通しておらず、単に外部濾過器を暖めるだけのたまり水です。

さらなる問題が・・・!

 こうして湯煎水槽のセッティングは完了。続いてサーモの温度設定を次の手順で行います。

  1. 湯煎水槽の温度を設定したい温度に調節する。(13℃としました

  2. 湯煎温度でバイメタルの反りが安定するまで20〜30分待つ。

  3. 温度調節ネジを回していったん通電OFF状態(通電ランプ消灯)にする。

  4. 温度調節ネジを逆方向に少しずつまわし、通電ランプが点いたり消えたりする微妙な位置でとめる。設定完了。

 手順2までは、何の問題もなく進みました。ところが、手順3の時点で予期せぬ問題が発生!なぜか、いくらネジをまわしても通電ランプが消えない。
 要するに、13℃という温度は設定可能温度を下回ってしまった(バイメタルがほとんど反らず、接点とくっついたまま)のです。ガビーン!

改造しました

 こうなるとサーモスタット自体の改造が必要です。設定可能な下限温度を下げるには、接点とバイメタルの距離を離さなくてはなりません。

 そこで、本体とバイメタルを留めているネジを外し、間にクリップをはさみ込んで元に戻しました。クリップの厚さ分、接点との距離を広げたわけです。
※接点とクリップが接触しないよう注意

 上記の改造を施し、めでたく15℃を下回る温度に設定できるサーモが完成しました!
 自己流の改造のせいで、正常に動作するか不安も生まれたが(- -;)。

動作結果

 昨日1日の温度変化は下表のとおりです。

  最低 最高 温度差
飼育部屋 7.9 10.9 3
水槽 12.5 13.1 0.6

単位:℃

 をー!期待通りの結果だよ。ンフンフ。

 ちなみに湯煎水槽は13℃〜14℃ほどを示しています。今後の気温変化に合わせてサーモの設定を微調整していきます。
 なお、水槽には水槽用クーラーが18℃設定で設置されています。万が一湯煎温度が上がりすぎてしまった場合の時間稼ぎになるはず。

給餌メモ

12月18日 レプトミン。餌食いバツグン。

12月28日 レプトミン、冷凍アカムシ。餌食いイマイチ(サンボは旺盛)。気温が低く底床温度が11℃まで下がる。(1月2日に湯煎温度を16℃に変更。底床温度13℃にアップ。)

2002.12.27 幼体の成長差

 この春に孵化した幼体の最近の様子についてお知らせします。

ちびくろ(左) 10cm
サンボ(右) 7.5cm

 同じ卵のうから生まれたのに、体の大きさにかなり差が出てきました。
 2匹とも餌食いは良好。現在はちびくろのほうが大食漢で、サンボは小食(上陸直後は逆だった)。性格的にもサンボはシャイで、ピンセットで餌を差し出してもすぐには食べません。そんなときは目の前で少しゆすって食欲を刺激してあげる必要があります。ちびくろはひょいと差し出すだけで、大慌てで食いついてきます(^^;。

 なお、幼体のみが持つ特徴的な白い斑点模様が、以前より少なくなってきていることに気が付きます。順調に成長してる〜(^^)。

前足の再生の様子


12月24日撮影

 共食いで奪われたサンボの左足は、ようやく左写真の状態にまで回復しました。まだまだ寸詰まりで正常な指にはなっていませんが、確実に少〜しずつ再生が進んでいます。

参考:再生の経緯(過去記事にリンク)
6月13日 傷口の整形手術
6月20日 傷口がふさがる
6月30日 再生芽が確認できた
7月13日 肘関節まで再生
7月26日 指の再生開始を確認
9月22日 まだ再生中

 ”腕”の再生には1ヶ月ちょっとしかかからなかったのですが、”指”はなかなか完全になりません。指があったとしても物をつかんだりできるわけではありませんし、クロサンショウウオにとっては重要度が低い器官ということなのかも???

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