2004年8月

2004. 8.20 深刻な病気
2004. 8.22 薬の変更
2004. 8.29 たった今

2004. 8.20 深刻な病気

 キョロチビの身に大変なことが起こってしまいました。あまりにむごい症状のため公開をためらったのですが、何か情報をいただけないかと思い公開することにしました。

状況

  • 17日の給餌の際、体幹部がパンパンに膨れていることに気がついた。

  • キョロチビはかなり小食であり、食滞や太りすぎが原因とは考えにくい。

  • 何かの原因で水分調節機能がおかしくなり、水分で浮腫んでいるのでは?

  • 腹部をつまんでみると硬く張り詰めている。内圧が高まった危険な状態に思える。

  • じめ体の浮腫みにばかり気をとられ気がつかなかったが、右目がひどいことになっていた。


    右目が水ぶくれで飛び出している。

    写真で見ると頭部もずいぶん浮腫んでいる気が。

     一瞬、眼球そのものが飛び出していると思ったが、良くみると、表面が水ぶくれ状態になって膨れ出している。まぶたを閉じることはできる。

     左目は特に異常なし。

応急的にとった対策

 ネットや専門書で調べましたが効果的な対策が見つからず、以下の応急策をとりました。

  1. 薬浴

  2. 隔離

  3. 本水槽の手入れ

薬浴

 18日の夕方、以下の手順でメチレンブルーとパラザンD(オキソリン酸)の混合薬浴を実施。原因がはっきりしていないので、細菌・真菌・原虫など広くカバーできる混合薬浴としました。副作用が心配で、濃度は規定量としたが短時間にとどめました。

  1. 規定濃度の薬浴水を作るため、6lの水道水にメチレンブルー1ml及びパラザンD0.6mlを投入。

  2. よく攪拌した後、使う量だけ薬浴用の容器に移し、残りは廃棄。

  3. 温度合わせのため、薬浴容器ごとサンショウウオ水槽内に置いて約1時間待つ(だが、低温ではオキソリン酸の吸収は良くないらしい・・・)。

  4. 別の容器に水道水を入れ、同じく、サンショウウオ水槽内に置く。(薬浴後の体の洗浄用。)

  5. 15分間の薬浴を実施。

  6. 洗浄水で軽く洗浄。(体についた薬浴成分を落とす。)


規定量で15分間。
メチレンブルー:色素剤。真菌や原虫対策として。
オキソリン酸:抗菌剤。細菌対策として。

隔離

 洗浄後は、本水槽内に急遽設置した小型のプラケースに隔離しました。


底面18cm×10cm 高さ9cm

【隔離ケースの内容】
ネット入りの活性炭
ハイドロボール
簡易シェルター(植木鉢の受け皿の一部を切り取って作ったもの)

 隔離した最大の理由は、今後、頻繁に行うことになる病状観察において、ケースごと持ち上げて覗き込めればストレスを最小限にできると考えたからです。

本水槽の手入れ

 細菌性の病気であれば、他のすべての個体もすでにキャリアーと考えられるので、せめて現状の環境を改善しようと考え以下の対策をとりました。

  • 底床をかき混ぜて念入りな掃除、大量の水換えを行った。

  • 外部濾過器に活性炭を詰め、濾過水の循環経路に挿入した。

今後について

 以下の点について検討。

  • 薬浴の濃度、時間、頻度など。実施するかしないかについても。(本日は薬浴30分間実施。)

  • 眼球の水ぶくれは、針などで突付いて潰した方が良いか?

  • 飼育水に塩分をわずかに加え、浸透圧で体内の水分を抜く?

  • 長年にわたる不適切な飼育が発症の一因。餌?設備?要改善。

  • 両生類の病気について、さらに詳しく調べる。



 以上、要点だけかいつまんで報告するつもりが、なんか長くなってしまいました。様子が気になって仕方がありません。正直、かなり深刻な状態にあるとみています。悪い夢かとも思ったんですが、やっぱり夢じゃなかったです・・・。

2004. 8.22 薬の変更

 現在までに以下のことがわかりました。

 バクテリア感染症の一種クラミジア感染症では、全身の浮腫み、皮膚のはがれ、出血などの症状が出るそうです。治療法としてオキシテトラサイクリンが有効とありました(濃度、時間等については記載なし)(Newts and Salamanders,Frank Indiviglio著)。

 体の浮腫み及び目の曇り(角膜炎)が生じた例として、エロモナス菌、シトロバクター菌、プロビデンシア菌(Aeromonas bydrohilaCitrobacter freundiiProvidencia alcalifaciens)の感染例を見つけました。100mg/Lの濃度のオキシサイクリンによる薬浴で効果が期待できるようです。薬浴時間については記載がありませんでした(AMPHIBIAN MEDICINE AND CAPTIVE HUSBANDRY,Kevin M. Wright著)。

使用薬の検討

 以上のバクテリアはどれもグラム陰性菌と呼ばれる仲間で、まさしく今回行っていた薬浴成分のひとつオキソリン酸のターゲット菌。このまま同じ方法で薬浴を続けるという選択肢もあります。
 しかし、オキシテトラサイクリンを検索してみるとテラマイシン眼軟膏に含まれていることがわかりました。この薬なら以前に使用実績があり、サンショウウオに致命的な副作用がないことがわかっています。

 魚病薬による薬浴をやめ、テラマイシンの使用を開始しました(異常のある右目に直接塗布。)

光環境の改善

 一生を洞窟や地中で過ごす生き物でない限り、「光」も大切な配慮事項であることは理解していました。しかし、サンショウウオは暗がりを好むため、ついないがしろに。特にこちらに引越してきてからは、カーテンを閉め切った部屋に水槽を設置し、非常に劣悪な光環境でした。
 飼育設備のひとつめの改善点として、ライトを設置してタイマーで定期的にオンオフするようにしました。


水槽の温度を上げてしまわないよう、かなり離して設置

2004. 8.29 たった今

 たった今、キョロチビが餌を食べました!隔離後、はじめての給餌にて。
 キョロチビ、生きる力あります。絶対助けます。

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