2003年4月

2003. 4. 1 食べた──(゚∀゚)──!!!
2003. 4. 8 拒食個体への給餌状況について
2003. 4.11 エゾサンショウウオの産卵便り
2003. 4.21 拒食個体への給餌状況(最終回)
2003. 4.26 ハコネサンショウウオ幼生との出会い

2003. 4. 1 食べた──(゚∀゚)──!!!

 とうとう拒食個体が餌を食べてくれました!
 Sサイズのコオロギを立て続けにパックン、パックンと!
 うれしいです!もう安心です!!



 今日は4月1日。
 かつて、これ程までにむなしいウソをついたことがあったであろうか・・・。

給餌メモ

3月30日 イエコオロギ3齢幼虫100匹を水槽内にばら撒いた。ピンセットより自然な給餌方法であり、食欲を刺激する面では優れている。思惑通り水槽内のあちこちで酒池肉林の宴が繰り広げられたが、肝心の拒食個体の捕食シーンにはお目にかかれず(;;)。ところが、あきらめかけてふと目をそらした瞬間、パクッと食いつく仕草が視界の隅に映った!あわてて注目するも、その後の飲み込む仕草は観察できず。今回はどうやら空振りだったようだが、夜中のうちに食べてくれるかも!

2003. 4. 8 拒食個体への給餌状況について

 繁殖の話題はちょっとだけ中断。

給餌メモ

4月3日 シェルターの流木の下から顔を覗かせていた数匹の個体に、ピンセットでミールワームを差し出してみた。シェルター撤去によるストレスがないためか、見るからに”餌待ち”している個体(シェルターから上半身を出し、顔を上に向けている個体)はもちろんのこと、わずかに鼻先を覗かせていただけの個体もバツグンの食欲を見せてくれた。給餌後、流木をどかして確認したところ、餌を食べた個体が隠れていたあたりに例の拒食個体の姿も!もしかして食べた?・・・食べたの!!?

4月7日 冷凍アカムシ。前回の給餌で味を占め、この日もシェルターの流木を撤去せずに給餌。拒食個体のものと思われる鼻先が見えたので慎重にアカムシを差し出したところ、勢い良く食べてくれた!本気でうれぴい(感涙)!!!ひとしきり給餌した後、小躍りしながら流木をはぐってみたら、全然別の個体でした(脱糞)。

 当の拒食個体は奥の方に隠れていた。差し出したアカムシには顔を背け、まるでイヤガラセを受けたかのように逃げ出そうとする(;;)。こういうときはしつこくしてはいけない(参考:餌を嫌がる仕草について)が、どうにもあきらめきれず、そうっと、そうっと口元にアカムシを触れさせてみた。
 ・・・時計の針の音だけが響くような沈黙の時間が流れ・・・。・・・・・。・・・「パクッ」。
 ッッッ食べたよぉぉ!!!
 口にしたのはわずかアカムシ1〜2匹でしたが、間違いなく、確実に、私の目の前で、拒食個体は餌を食べてくれました!

 それ以上は食べることなく、決して拒食から完全に立ち直ったわけではないことをうかがい知ることができましたが、回復に向けて大きな一歩を踏み出しました!

2003. 4.11 エゾサンショウウオの産卵便り

 今月初め、北海道に住む親友からエゾサンショウウオの産卵の便りが届きました!ありがとう!

 産卵場所は、清水の流れ込む集水枡。道路を挟んで向こう側がすぐ海という、非常に標高の低いところです。水深50cm程度で、水はとっても冷たかったそうです。

 右の2枚の写真はオス。
 このように、繁殖期のエゾサンショウウオのオスは、@頭部が幅広く膨らみ、A尾がヒレ状に発達します。普段とあまりに違う異様な姿にビックリです!

 ちなみに、クロサンショウウオにも同様の性徴が現れることが知られています。
 こちらで、頭部が膨らんだ繁殖期のクロサンショウウオのスケッチを掲載していますが、今回のエゾサンショウウオの写真と見比べていただくことで、私のあの絵が実はかなりイイ線いっていたことがお分かりいただけ・・・ませんかね?やっぱり。(汗)

 なお、クロとエゾは見た目にもそっくりですが、エゾのほうが尻尾が長いのが特徴だそうです。


頭部が幅広く膨らむ。スゲ〜!!!

尾がヒレ状に発達する。スゲ〜!!!

 下写真の右端の個体はメスと思われます。左側の3匹のオスと比べると、その差は一目瞭然(特に頭部の幅がゼンゼン違う)!すでに腹部は小さく、産卵後の個体と思われますが、オスがこのメスに群がる様子が観察できたそうです。
 また、メスはオスに比べて明らかに色が薄かったそうです。ただし、これは性差なのか、ただの個体差なのかは不明。

右端がメス。(たぶん)
メスは産卵が終わるとさっさと山に帰るそうなので、出会えたのはラッキーかも。

 今回の産卵が行われた地域ではエゾサンショウウオはごく普通に見られる生物で、地元の人は誰も珍しがらないそうです。

 北海道の大自然に乾杯! (何かと理由をつけて飲む。)

(追記)いつもお世話になっているHasumi Virtual Lab for Salamandersの羽角さんから、右端の個体はメスではなくオスと思われると教えてもらいました(汗)。メスにしては頭幅の広がりが大きく、また、全体的な体のふくらみは繁殖活動終盤のオスにみられる体型だそうです。黄色っぽい体色についても、繁殖期のオスの一部に見られる特徴だそうです。ありがとうございました。

2003. 4.21 拒食個体への給餌状況(最終回)

 前回に引き続き、給餌の様子をお知らせします。

給餌メモ

4月11日 ミールワーム。ついに拒食個体がミールワームを咥えた(゚∀゚)!・・・ところが、途中まで飲み込んだあと吐き出してしまった。大ショック
 拒食個体にしても、この体験がトラウマとなり、さらに頑固に拒食する可能性がある。咥えた時に軽く引っ張ればよかった(咥えた餌を引っ張ると、サンショウウオはそれに対抗して積極的に飲み込もうとするのである)。
 掲示板やメールで、拒食個体を個別飼育してはどうかとのアドバイスをいただいている(ありがとうございます!)。試す価値は大いにあると思うが、環境の変化がさらなる悪化を招く心配があることも否めず、かなり悩んでます・・・。

4月13日 レプトミン。これまでの状況から、拒食個体は「食べる気はある」ことは間違いない。そこで、やわらかくふやかしたレプトミンを与えてみた。アカムシもそうだが、やわらかい餌は一旦口に入れさえすれば、容易に飲み込んでくれる。
 ・・・ところが、レプトミンをひと目見るなりもぞもぞと後ずさり。最悪の反応だ(;;)。

4月16日 ミールワーム。拒食個体以外は完食(爆)。いい加減、拒食個体以外への餌の与えすぎが心配になってきた・・・。やはり、早めに個別飼育に踏み切るべきか。
 できるだけ余計なストレスを与えない個別飼育の方法について考えをめぐらせた結果、拒食個体以外を別の飼育設備に移すのがベストだと気がついた(逆転の発想。最近ゲームボーイの逆転裁判にハマってたせいか?(笑))。しかし、それにはもうひとつ飼育設備を立ち上げる必要がある。欝だ・・・。

4月20日 流木の隙間から拒食個体が顔を覗かせていた。給餌のチャンス!この前の給餌のときは、一度は咥えたミールワームを途中で吐き出してしまった。これは、ミールワームの脚が口の中でうごめいたのを嫌がったのだと思う。そこで今回は、脚の生えている部分までを大胆にハサミでカットしてから与えてみた。すぐに食いついてきたが、残念ながら空振り。拒食個体はイジケて流木の奥へ後ずさり。
 よし!食欲はある。とにかく空振りさせてはいけない!
 にわかに鼓動が早まる・・・。
 流木の下からわずかに覗いている顔先に、再び慎重にミールワームを差し出した。
 「パク」・・・ところが、またしても空振り!拒食個体はさらに後ずさりして、流木の奥に入ってしまった。くっ・・・今日もダメなのか?
 えーい、ままよ!もう一度狙いをつけてミールワームを流木の下に差し入れてみたところ、
 ・・・た(゚∀゚)食べた食べた!食べた!( iдi )
 うれしくて泣きそうだ。てゆーかちょっと泣いた。(うれしくて泣いたなんて、三沢がジャンボ鶴田に勝った時以来だっ!)

 ようやく拒食個体の汚名を返上!振り返ってみれば、実に3ヶ月に渡る不安な日々でした。今後、餌食いがどんどん回復することに期待します。次回より、通常の繁殖日記に戻ります(^^)。

2002. 4.26 ハコネサンショウウオ幼生との出会い

 クロサンショウウオを飼っているうちに、他のサンショウウオにも興味を持つようになりました。新潟県にはクロサンショウウオを含めて、5種類のサンショウウオが生息しています。
 そのうちの1種類、ハコネサンショウウオの幼生の観察に行ってきました。幼生は、山間の小沢に棲んでいるそうです。私は過去に何度か探しに行ったことがあるのですが、未だに出会えたことがありませんでした。はたして今回は?

第1日目 [4月12日(土):小雨]

 あいにくの空模様の下、新潟市に程近い、とある村に向け出発しました。
 レインコートに長靴姿で、当てずっぽうにいくつかの沢を歩いてみたものの、なかなか出会えません。しまいには、水底をよく探そうとかがんだ際に、ベルトに付けていたデジカメケースからデジカメ本体が滑り落ち・・・

 ドボン!・・・ブクブク・・・

 つうこんのいちげき!!!

 デジカメを水に落としたのは実は2度目。前回は運よく故障せず、乾かしたら使えるようになったのですが、今回はレンズの内側にまで完全に水が浸入・・・ダメージ大(T_T)。

 雨脚も強くなってきたので、この日は早々に引き上げることにしました。

翌日 [4月13日(日):曇り]

 お天気はなんとか回復。とりあえず、マクロ撮影のできるインスタントカメラを買って出直しです。

 この日は前日訪れた村の隣村を探索。
 事前に、村内での目撃情報を得ていたので期待も高まります。初日こちらに行かなかったのは、おいしいものを後に残す性格のため(笑)。

 この日最初に調べた沢は空振りでしたが、2本目の沢は、ここにいなくてどこにいる!?という感じの最高の雰囲気(右写真)。

 絶対に会えるという確信のもと、黙々と水中の石をはぐったり、枯れ枝をどかしたりして目をこらしました。

 そしてついに・・・!


ハコネサンショウウオの繁殖地

あっ!いたっ!!!!!


石の下に隠れていた!

水の冷たさも忘れる!!!

 初めて手にした念願のハコネ幼生(感涙)。
 ちょろちょろと泳ぐ姿はあまりにかわいらしく、そのままつるんと飲み込んでしまいたい衝動にかられました(こらこら)。

 1匹目を見つけたことで、幼生がひそむ場所のイメージがつかめ、目も慣れてきて、その後はとんとん拍子で多数の幼生を見つけることが出来ました。

 何匹見つけても、見つける度に「あっ!いたっ!」と声を上げてしまう・・・。



 時の経つのを忘れました。


幼生は水が落ち込むよどみの石の下などに潜んでいた。

 近々デジカメを新調して再度写真を撮りに訪れることを誓い、名残惜しさを感じつつ村を後に。とはいえ、アパートからこの沢までは車で1時間かからないご近所です。よいポイントを見つけて幸せです。(この夜、盛大に祝杯をあげたことはいうまでもない。)

その翌週 [4月20日(日):大雨]

 良く乾かしたらデジカメ復活。2度目の奇跡。
 ふっ・・・タフな奴だぜ、カシオQV-2300UX!!!

 天候に恵まれず、大雨のなか再び前回の沢に向いました。
 予想どおり沢は増水して勢いを増していました。若干濁りもあり、また、幼生たちは流されないよう普段より奥まった所に隠れているのでしょう、なかなか見つけることができませんでした。

 小一時間ほど探して、ようやく1匹目を見つけた時はホッとしました(^^)。


また会えた!全長5cm弱。

細部を観察

 用意していた紙皿にすくい取って、よ〜く観察。



頭部と前足

後足

 頭部は長方形に角ばっています。

 指先にはかわいい黒い爪がついています。これは流水性のサンショウウオの幼生に見られる特徴で、水流に流されないよう石などにしっかりしがみつくためのものだとか。

 また、注意して見ると前足・後足ともに、周囲には膜をはるように皮膚が広がっていることに気がつきます。これも、水の流れに逆らわないよう適応した形でしょうか。

2匹目を見つけた!・・・が

 1匹目を逃がし、続いて2匹目探しに入りました。前回の観察のとき、個体ごとに色や模様の変異が大きいことに気がついたため、撮影して違いを比べたいという目的がありました。

 かなり時間がかかりましたが、ついに2匹目を発見(゜∀゜)!
 よく見ようと前かがみになったとき、

 ドボン!・・・ブクブク・・・(実話)

 またもやデジカメは水中へ。いくらなんでも間抜けすぎる。

 撮影はあきらめ、この日は近くの日帰り温泉でゆっくりしてから帰宅しました。

その他

 ハコネの繁殖地を歩いて、その他気がついたことについて書きます。


水中のハンター、ヤゴ。
約3cm。

○ヤゴ

 沢の流れの中に、ガッシリした体型のヤゴを見つけました。種類は良く分かりません。
 これこそハコネ幼生の天敵でしょう。


訳の分からない物体
(抱接中のタゴガエル)

○タゴガエルの抱接

 ちょうど産卵シーズンにぶつかり、沢沿いのいたるところから鳴き声(メイティングコール)が響いていました。しかし、声はすれども姿は見えず・・・。
 しばらく沢を歩いていると、足元に奇妙な物体がうごめいているのを発見!それは1匹のメスに2匹のオスがしがみついて、訳の分からない塊になっていたタゴガエル達でした。
 生まれたばかりのオタマジャクシは、ハコネ幼生の良い餌になっているはずです。

○上流に存在していた岩盤状の滝

 産卵期には、ハコネの成体は産卵場所である沢の源流部へ集まっていきます。最盛期には、この滝の両側を多数上っていく姿が観察できることでしょう。
 ハコネサンショウウオの食文化のある地域では、産卵期に滝にワナを仕掛けて漁をします。


岩盤むき出しの滝

不死身なのか?

○カシオQV−2300UX(デジカメ)

 帰宅して、じっくり乾かしたらまたまた動くようになりました。水中から3度目の復活!すごい、すごすぎる!
 ・・・カシオQV-2300UXお前、最高のデジカメだよ!!!

 しかし、画質はイマイチなので近々買い替えます(ヲイ)。

 最後になりましたが、今回ハコネサンショウウオ幼生と出会えたのは、某研究会の機関誌にあったハコネの生息地に関するくだりを紹介してくれた職場の先輩のおかげです。ありがとうございました!

P.S. ”元”拒食個体、本日もミールワームを食べました(^^)!確実に回復してます。しばらくは高カロリーに留意します。

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