2002年4月2002. 4.14 卵のう2002. 4.15 熱帯魚水槽のインフゾリアを餌に 2002. 4.16 本格的な孵化スタート 2002. 4.19 時間差孵化のヒミツ 2002. 4.23 給餌開始 2002. 4.29 アレが生えた 2002. 4.14 卵のう今年は暖冬だったので、クロサンショウウオの産卵も早い時期に行われるだろうと予想しました。なかなか都合がつかなかったのですが、この度ようやく観察に行ってきたので報告します。 ちなみに、サンショウウオ観察に必要なグッズは次のとおりです。
デジカメは電池切れがないように十分に確認することが重要。今日は、途中コンビニに寄って新しい電池を買い、準備万端です! 小千谷市の繁殖池に到着
繁殖池の様子気温・・・17.5℃ 水温・・・11℃(水深10cm地点) 地温・・・9℃(地中10cm地点) pH・・・6.9と7.0の間を行ったり来たり(わずかに酸性〜中性) 今回は、水温より地温のほうが低かったことがこれまでとは違いました。ともかく、今日の私のアパートの室温が20℃を超えているという現状は、クロサンショウウオ達の健康にとって、実に好ましくないと改めて感じました・・・。 卵のうの数について
池の中をのぞくと、ちょろちょろ泳ぐ生き物がたくさんいました。よーく見るとそれは1mmくらいのヤゴ。この先きっと、小さいヤゴはサンショウウオ幼生の餌になり、サンショウウオ幼生は大きいヤゴの餌になるのでしょう。 卵のうのやわらかさ私はこれまでクロサンショウウオの卵のうはずいぶん見てきましたが、実は1度も触ったことがありませんでした。デリケートな卵のうに触るのはマナー違反です。しかし、今日、岸すれすれの浅瀬に1房の卵のうを見つけました。何かの拍子に産み付けられた場所からちぎれて、風にでも流されたのでしょうか!?かなり表面がぼろぼろになっていましたが、中の幼生はかろうじて生きていました。これを思わず触ってしまいました! やわらかい。想像以上のやわらかさ。生卵の白身に近いやわらかさでした。完全に水から持ち上げたら、指の隙間からこぼれ落ちてしまいそう。 せっかくの機会なので、これを観察用に持ち帰ることにしました。 育てます本来は水槽内繁殖のチャレンジがこのコーナーの趣旨ですが、今年は勉強もかねて、この卵のうを育ててみることにします。無事に上陸するまで育てあげ、山に帰すことができるでしょうか。 持ち帰った卵のうは、直射日光の当たる浅瀬にあって比較的水温が高かったため、かなり発生が進んでいました。しかし、両生類の卵は日光に含まれる紫外線に非常に弱いといわれています。水は紫外線を通しにくいのですが、水面すれすれにあったこの卵はかなりの悪影響を受けている可能性も。・・・とにかく、これまでに得た知識を総動員させて、やれるだけやってみたいと思います。 飼育設備について基本的な事項については幼生の飼育設備で解説していますので、ご覧になってみてください。 14日の深夜・・・大変だ、早くも1匹出ちゃったよー!ちょろちょろと泳いでいる。移動させたことが刺激になって、卵膜が破けて飛び出してしまったみたいです。人間でいう早産。どうしよう!!!
餌にも困ってしまった。初期飼料として現地の泥を少しすくってくるべきだった・・・。今は、卵のうと一緒に持って帰った現地の水、その中の微生物が頼みの綱です。 2002. 4.15 熱帯魚水槽のインフゾリアを餌に朝 無事に生きていた!他にはまだ1匹も孵化していない所を見ると、やっぱり昨日の孵化はアクシデントだったと思います。 夜帰宅して水槽を見ると、水温は19℃にまで上がっており、さらに2匹が孵化していました。う〜む。 体力のない幼生を無事に育てるには、餌をたくさん食べさせて、一気に体力を付けさせるのがセオリーです。しかし、インフゾリアをうまく湧かせる自信がありません。仕事をしながらそんなことばかり考えていたわけですが、おかげで名案が浮かびました!我が家でもっとも水質の良い熱帯魚水槽の外部濾過器の中に、たっぷり微生物が湧いた泥(バクテリアのコロニー)があるではありませんか!これが良い餌になるに違いない!!! 外部濾過器の中の泥は、アクアリウムひと工夫で紹介したおそうじ方法で手軽に取り出すことができました。こげ茶色をした見事なバクテリア水です!顕微鏡で見れば、インフゾリアがうようよ見えるはず。少し放置して濁りをしずめてから上澄みを捨て、底に残った泥を幼生水槽に注ぎました。 2002. 4.16 本格的な孵化スタート 朝見ると、全部で4匹になっていた。で、帰宅すると15匹になっていた。 今のところ、死亡数は0。全長は皆1.2mmくらいで、まだ腹部に残っている卵黄で育っている段階でしょうか。しかし、順調に行けば、すぐにインフゾリアを食べ始め、やがて共食いが始まるのも時間の問題である!このまま1つの水槽で育てる(共食いを許す)べきか、それとも1匹ずつに分けて飼うべきか、迷っています。皆さんだったらどうしますか?
2002. 4.19 時間差孵化のヒミツ全部で17匹に。孵化ラッシュは終わったようですが、未だ卵のうの中には孵化していない幼生が見うけられます。別の卵のうは言うに及ばず、同じ卵のう内でも、このように発生速度に差があると体の大きさに差が出ますから、早く生まれた幼生は遅く生まれた幼生を食べてしまいます。逆にいえば、食う側と食われる側があらかじめ決まっているから、あえて時間差で孵化するようになっているとも考えられます(関連記事・・・サンショウウオを餌にする!?)。 カエルの中には、エッグフィーダと呼ばれる種類がいます(西表島や石垣島に分布するアイフィンガーガエルなど)。エッグフィーダは、親ガエルが卵を産み、それをオタマジャクシに食べさせるという、珍しい子育てをするそうです。もしかすると、サンショウウオが孵化に時間差のある卵を産むことは、サンショウウオならではの子育て方法なのかもしれません。ちょっと強引な推測だと思ったあなた。私もそう思ってまーす。 なお、一昨日は雨も降り、水温は一気に15℃にまで下がっていました。 昨日はさらに低下して14℃。今朝は13℃にまで落ち込みましたが、帰宅後見ると17℃に。水量が少ないから安定しない。見たところ幼生達はピンピンしているようですが・・・。 2002. 4.23 給餌開始
そんなわけで、今朝、初めてまともな給餌をしました。与えたのは孵化したてのブラインシュリンプ。新潟県の水族館マリンピア日本海の飼育スタッフの方から、幼生の餌にはブラインシュリンプが適していると教えてもらったことがありましたし、優れた餌だと思います。しばらく観察していましたが、残念ながら食べる瞬間は目撃できませんでした。 冷凍アカムシブラインシュリンプの孵化には小さなプラケースを使ったのですが、うっかり水槽のライトの上に放置して仕事に出かけたため、帰宅した時には、熱で干からびてしまっていました・・・。ブラインシュリンプの孵化には24時間はかかりますから、すぐに次の準備はできません。そこで、まだ少し大きすぎるとは思いつつも、冷凍アカムシを与えてみることに。解凍したアカムシをピンセットで1匹ずつつまんで、幼生の口元に持っていってあげます。びっくりして逃げ出す幼生もいましたが、狂ったように食いついてくるものも。 やった!食べた!! 餌を与え始めたので、明日からは水換えも始めます。 バランサーについて
卵のう崩壊
2002. 4.29 アレが生えた最終的に孵化した数は19匹です。死卵が10個くらいあったので、ひと房の卵数は約30個。おおむね予想どうりの数でした。 順調!
幼生は、いつもは水面付近や中層にぼけーっと浮かんだり、底でじっとしてほとんど動かないのですが、ブラインシュリンプを入れてしばらくすると、時折、ビクッ!ビクッ!と動きます。目の前に来たブラインシュリンプを飲み込んでいるのです。
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前回ご紹介したバランサーはいつの間にか消え、かわりに別のものが生えてきました。写真の矢印の先にご注目ください。 これはまさしく・・・手っ! こんなに早く生えてくるものだとは。めでたい。以前飼育したときは、もっと育った状態からのスタートだったので、前足の生えるタイミングはわかりませんでした。 |
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クロサンショウウオの幼生は、とても立派な尾びれを持っており、幅が広く、しかも、かなり前方から広がっていることが特徴です。他のサンショウウオの幼生と見分ける際の参考になります。この特徴も、今回、初めてじっくりと観察することができました。 |
手前の幼生の尻尾の先が欠けています。同じ水槽の中にかじった犯人が・・・。 |
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