2005年1月後半2005. 1.10 その6 顔に見覚えあり2005. 1.13 その7 止まらない時計 2005. 1.16 その8 キョロチビ 2005. 1.19 その9 ちびくろ 2005. 1.22 その10 サンボ 2005. 1.25 chinchinの新たな特徴! 2005. 1.29 ミズゴケ利用のメリット・デメリット 2005. 1.30 今後のミズゴケ利用方針 2005. 1.10 その6 顔に見覚えあり
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気を取り直して6匹目いきます。 識別ポイント探しは前回のおぼろ月(♀)以上に困難を極めました。いちいち裏返してお腹の色を確認するのでは面倒です。もはや「特徴がないことが特徴」ということで、消去法で判別するしかないか・・・と、あきらめ気分で写真の整理を始めました。 |
その時になって気が付きました。この少し膨らんだ下アゴ、どこかで見た覚えが・・・。そうだ、きっと5年前に下アゴを擦りむいた子だ!傷は治ったけれど、少し跡が残っていたんだね。5年間、気が付かなかったよ(爆)。 一晩中悩んだのですが、どうしてもステキな呼び名が思い浮かびません・・・。このままでは、初めに思いついた、アゴの英訳「chin(チン)」からとった「chinchin」という名に決まってしまいます。まいった!(また読者減った?) なお、仮称chinchin(♀)は、尻尾にまったく古傷がなく全個体中で一番整った形をしていることが自慢です。 |
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久しぶりに水槽大掃除を実施。ついでにミズゴケケースを大き目のプラケースに取り替えようとしたのですが、浮力が大きくて底床に埋めることができませんでした(考えてみれば底床は水で満たされているので当然の話だ)。重量のある適当なサイズの容器を物色してみます。
また、底床内の濾過用パイプを流れる水の一部を分水し、エアーチューブで底床上に導いておきました。なぜ、このようにしたかというと、次のような計画を企んでいるからです。
これまで繁殖期には土留めにより水場を用意していたのですが、どうせ産卵しないし、もっと手軽に行いたいと考えていました。ミズゴケケースのミズゴケを取り出して水を満たせば、手っ取り早く水場が作れます。
通常時:ミズゴケケースとして用いる。
繁殖期:産卵用の水場として用いる。
水場として用いる際には、水質維持のため、前述のエアーチューブにより濾過水をケース内に導こうという考えです。 |
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体重15g。脊椎が変形しているため、全長を測ることができません。生殖結節はまったく発達しておらず、腹部を透してメスの特徴も見られないため性別は不明。 背骨の異常に気が付いたのは変態後のこと。幼生時代の栄養バランスが悪かったせいで、骨の病気にしてしまったのだと考えました。もしかすると先天的な奇形だったのかもしれませんが、分かりません。 |
この病気のせいで、動作が少しぎこちないです。たまに、餌を咥えようとするはずみで横倒しに転んでみせたりします。もしかしたら脊椎以外にも隠れた疾患があって短命に終わるのではないかと、いつもいつも気にかけてきました。この子が元気に餌を食べた日は、こっちまで元気がわいてくる。食べない日は、何だか不安を抱いて床に就く。そんな日々を繰り返して、気が付けばはや8回目の誕生日。これまでの人生の1/4近くを一緒に過ごしてきたんだね。心からありがとうの言葉を送りたい。
呼び名は「ねじ巻き」にしました。これから先も、ねじ巻き時計の針を止めてしまうことがないように、ずっと見守っていきたいです。
昨晩、久しぶりに好物のミールワームを与えました(最近はレプトミンばかりだった)。刃こぼれ(♂)がかなりの食欲を示し、何度も咥えそこなった末飲み込んだ。温度は5.5℃(私の考える冬眠閾値を下回っている)。実はすでに冬眠に入っており、お腹がすいた夢を見て無意識に飛びついただけだったりして・・・。ミズゴケ内には2匹。
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「キョロチビ」は、元の飼い主さんが事情で飼えなくなり、5年前に我が家にやってきました(呼び名も元の飼い主さんが付けたもの)。 |
あの病気騒動ではとても心配させられましたが、持ち前の生命力で回復してくれました。ところが、目の病気がクセになってしまったのか、つい先日、またうっすら白濁(2日程で元に戻った)。気がかり。
さらに、調子に乗って寒い時期に餌を与えすぎたせいか食滞ぎみ。注意しなくては・・・。
手足や尻尾が短めで、吻端が寸詰まりのため幼く見えます(他の個体とは全然印象が異なる)。また、黒目がちで虹彩がほとんど見えません。生い立ちの違い???(キョロチビは東北産で、サシなどで育てられた。)
昨日今日と暖かい!9℃。昨晩冷凍アカムシを給餌し、5匹が食べた(ゆきどけ(♀)、刃こぼれ(♂)、ねじ巻き、キョロチビ、サンボ)。
ミズゴケ内には1匹(わたしの彼(♀))。
色々と物色したところ、梅干などを漬ける”かめ”が御眼鏡にかないました。この常滑焼きのかめは、保温能力に優れ、環境ホルモンなど有害物質を出さないことが売りだとか。保温能力の程度によってはそのまま冬眠用ケースにも応用でき、一石三鳥(ミズゴケ用、産卵用、冬眠用)。 埋めればダサいデザインもバレないので安心です。 ちなみに、設置後の写真に写っている2本のエアーチューブが濾過水を底床上に導くチューブ(分水チューブ)です。先から水がチョロチョロ出ています。 |
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今回紹介するちびくろと、次回紹介予定のサンボ。卵のうから育てたこの2匹とは、もう5〜6年以上の付き合いになる気がしますが、記録をさかのぼってみたら、まだたったの3年でした!インド人もビックリです(ふっる〜)。 特にちびくろの成長には目を見張るものがあります。全長16cm、体重17g。生殖結節は目覚しく発達して、すっかり性成熟(オス)。さらに、写真では分かりにくいのですが、総排出口周囲が若干充血しており、繁殖期のオスに見られる特徴を彷彿とさせます。・・・そういう目で見てみると、心なしか尻尾のヒレ状化(これも繁殖期の特徴)の徴候も? 水に入ってからの体型変化が楽しみになってきました。 |
以前は体格の差で簡単に見分けが付いたのですが、そろそろ難しくなってきました。今回、新たな特徴を見出さんとじっくり観察したところ、なんと、左前足の小指に負傷を発見(ぐはっ)!再生具合からいって、あまり古くない怪我に思えます。当面はここで見分けることができます。 |
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昨晩、新ミズゴケケースの上に被せてあった流木をどかし、下の様子を撮影しました。まるでお風呂に入っているかのように、ミズゴケから顔をのぞかせている子がかわいすぎる(右側の1匹は尻尾がミズゴケ中にあり、中から這い出してきたらしい)。掘り起こすと、内部にはさらに3匹が。 大き目のミズゴケケースに変えたら、過去最多の10匹中5匹(50%)が潜り込む結果となりました。温度は9℃とやや高め。やはり寒さから逃げる目的ではなく、”潜りたい欲求”を満たすために、ミズゴケが役立っているように思えます。引き続き設置する方向に気持ちが傾いていますが、メンテナンスや給餌の問題について要検討です。 |
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一番小柄で、全長13.5cm、体重14g。同じ卵のうから生まれ成長著しいちびくろ(♂)とは対照的に、サンボには幼体特有の白点模様が未だに残っていて、性徴も現れていません。現在は、このような成長速度の違いの一番の要因は、性別の違いにあるのではないかと思っています(サンボはメス?)。 ちなみに、サンボには小さい頃から”共食い受難の相”があります。「サンボ」という呼び名も、左前足を失って「三本足」になったことから名付けたもの。右後足もひざから下は再生肢。変態後には、尻尾まで共食いされてしまいました。 ・・・しかし、次第にサンショウウオの遺伝子が暴走を始め、楳図かずおの恐怖マンガのような展開になりそうで怖い。 |
今月10日の記事で、仮称chinchin(♀)は尻尾に古傷がなく、全個体中で一番キレイな形をしていることを紹介しました(^^)!!! その自慢の尻尾を、 |
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だれか食べた。工工エエェェ(´д`)ェェ工エ工工
昨晩の給餌の際に、ミズゴケの奥から掘り起こして気が付きました。我が家でこの手の事故が多いのは飼育密度に問題があるせいかも。誰が犯人かわからないけど、おかげですごい識別しやすくなったヨ(T◇T)。
笑えない冗談はともかく、この日の観察で新たに右後足に4本しか指がないことを発見(小さい頃の怪我か生まれつきと思われる)。こんな大きな見落としがあったということは、他の個体にもまだまだ識別ポイントが隠れていそう。観察眼のなさは今に始まったことじゃないので(^^;、ま、のんびり探していきます。 |
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8.5℃。3匹がアカムシを食べた。[刃、キ、わorゆ]
※[ ]内は呼び名の頭文字。簡単なメモ書きの際にはこのように省略名を用いることにした。”わorゆ”とあるのは、どちらだったかうっかり忘れてしまったため。
試験的なミズゴケケース設置から、ひと月あまりが経過しました。主なメリット・デメリットは下表のとおりです。
○メリット | ×デメリット |
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半数がミズゴケに潜り込んだ。サンショウウオは本来地中の生き物であり、寒さとは関係なく潜りたがっているようだ。
ミズゴケケースをさらに大きくすれば潜る数が増える可能性はあるが、出たり入ったりする個体や、潜るそぶりも見せない個体もあり、(流木等のシェルターが十分にある限りは)”どうしても潜りたい”というほど強い欲求ではないように感じられる。ただし、中には潜りっぱなしの個体もある。
通常の床材としてではなく、深さを重視した潜るためのミズゴケ(生きているミズゴケ)には、熱帯魚水槽における水草ジャングルのような擬似自然感があり、飼育のワクワク感、うれしさ倍増。スルスル〜っと垂直的に潜り込んでいく様子や、顔だけをのぞかせる様子、ミズゴケ上の流木をどかすとスゴスゴ後ずさりして潜っていく様子など、これまで観察できなかった近自然的な行動が目新しくおもしろい。
ミズゴケを剥ぎ取られ、外界に引きずり出されるストレスは、単にシェルターをどかされるだけの数倍以上ありそう。繰り返せば慣れていくことは考えられるが、今のところ、掘り起こされたサンショウウオが餌を食べたことは皆無。暖かくなり、食欲が増してくればどうなるか?
ミズゴケケース内は濾過ができないため、排泄物等から生じる有害物質、雑菌の温床になる恐れがある。特に暖かい季節は危ない。
現在、給餌の度に、取り出したミズゴケを水道水で水洗いしているが、問題はケースの底に溜まった汚水や内壁。拭き掃除など行えばよいが、非常に面倒くささを感じる。放っておくと問題ありそう(今は放っている:汗)。洗ったミズゴケは硬く絞るだけで、特に温度合わせや塩素抜きなどせずに元に戻している。この辺もちょっと不安。
また、水槽内は生ミズゴケ育成に適した環境とはいえず、枯れて腐る恐れがある。そのため、最低でも2グループ用意し、一方は育成に適した環境で養生し、適時サイクルしながら利用するようにしたい。この辺のノウハウ不足。
姿が見えないと脱走したのではないかと心配になり、果てはミズゴケ内で死んでいるのではないかと気が気でなくなってくる。ミズゴケを掘り起こす手間はともかく、サンショウウオにストレスを与えることはできる限り行いたくない。普段、シェルターを動かすことすら気兼ねしているくらいなのに・・・。有意義な観察ならば多少のストレスは我慢してもらうが、いつも私が行っているような”ただ様子を見るだけ”を、多大なストレスを与えてまで”観察”と称して行うのは気が引ける。
次回は、これらについて整理検討し、今後どのようにミズゴケを利用していくか方針を固めます。
というわけで、メリットを100%残しつつデメリットを100%抑えることはできないので、どこかに妥協点を見出す必要があります。分かりやすく考えるため、前回挙げたメリット・デメリットを、”ミズゴケを利用する際に私が何を望むか”という視点で再整理しました。
◆ミズゴケ利用にあたって私が望むことサンショウオに | 飼育者は |
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これらの中には、非常に重要なものとそうでもないものとがあります。まず、その辺をはっきりさせることが大切。そこで、AHPの評価手法を用いて数量化することにしました。(9年前に書いたレポートがこんな場面で役に立つとは・・・。)
◆縦軸の横軸に対する重要性の比較(AHPにおける一対比較)項目名 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 重要度 |
1.潜れる喜びを与えたい | 1 | 1/3 | 7 | 5 | 7 | 0.292 |
2.掘り起こしのストレスを減らしたい | 3 | 1 | 9 | 7 | 9 | 0.527 |
3.飼育の楽しさを感じたい | 1/7 | 1/9 | 1 | 1/3 | 1 | 0.043 |
4.管理の手間を少なくしたい | 1/5 | 1/7 | 3 | 1 | 1/3 | 0.064 |
5.気軽に観察したい | 1/7 | 1/9 | 1 | 3 | 1 | 0.074 |
これで、私が何を重要と感じているか具体的になりました。
続いて各重要度を、ミズゴケを利用すれば実現できること/利用しなければ実現できることに区分して集計し、それをミズゴケを利用する場合/しない場合の評価点とします。
ミズゴケ利用する | ミズゴケ利用しない | ||
潜れる喜びを与えることができる | 0.292 | 掘り起こしのストレスがない | 0.527 |
飼育の楽しさがアップする | 0.043 | 管理の手間が少なくできる | 0.064 |
気軽に観察できる | 0.074 | ||
合計(評価点) | 0.335 | 0.665 |
結果は、ミズゴケ利用する : ミズゴケ利用しない = 0.335 : 0.665。
すなわち、ひとつのアプローチとして、1年間のうち4ヶ月間(12×0.335=4.02)はミズゴケを利用し、残り8ヶ月間(12×0.665=7.98)は利用しないことにすれば、ほぼ自分が納得のいく割合で両方のメリット(及びデメリット)を享受できるというわけです。
ミズゴケ利用のデメリットが大きいと予想される暖かい時期を避け、また、クロサンショウウオの生活史を加味して、標準的な期間割を下表のとおり決定しました。
区 分 | 期間割 | 備 考 |
ミズゴケを利用する | 11月〜翌2月 | |
利用しない(水場として利用) | 3月〜6月 | 水で満たす。オーバーフロー濾過 |
利用しない(多湿な底床として利用) | 7月〜10月 | ハイドロボールで満たす。オーバーフロー濾過 |
あくまでも現時点での主観に基づく妥協案ですが、自分なりに迷いは消えました。今後は、デメリットをいかに減らすかに全勢力を傾けます。
分水チューブの先がミズゴケケースの真上にずれ、ケース内が水であふれかえるという事故発生!水中に潜んでいた2匹を救出?し、中のミズゴケを取り出して”お掃除ポンプ”で排水を行ったが、完全には吸い出せず、結局水深1cmほど残して諦めた。きっちり吸い切るにはどうしたらよいだろう?汚水の掃除方法にもつながる重要課題である。
このドタバタの後、そのままの勢いでミールワーム給餌。ちびくろ(♂)他2匹が食べた。
ちなみに、お風呂に入ろうと服を脱いだ後にこの水あふれ事故を発見したのだが、服を着なおすのが面倒で、上記一連の作業は裸で行った。凍えるかと思った。
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